あいらいふレポート

【知っトク「注目のトピック」vol.04】介護予防のための地域の取り組み。厚生労働省の提唱する「通いの場」が目指すものは?

介護予防事業の一環として、厚生労働省が提唱する「通いの場」をご存じでしょうか?地域の住民が主体となり、シニア世代の参加できる憩いの場を全国各地に設置することで、介護予防に役立てようという試みです。今回は、同事業の概要をご紹介します。

シニア世代の生きがいづくり
「通いの場」が生むメリット

「通いの場」は、介護保険制度に基づく支援制度である、一般介護予防事業の一つ(地域介護予防活動支援事業)です。2014年の介護保険法改正に伴って創設されました。

同事業は、地域の住民同士が気軽に集い、ふれ合いを通じて仲間づくり・生きがいづくりの輪を広げていくための場所を提供することを目的としており、地域における介護予防の拠点としての役割を期待されています。

全国各地の「通いの場」では、地域の特色を生かした個性豊かな取り組みが進められています。例を挙げると、体操(運動)、会食、茶話会、認知症予防、趣味活動、農作業、生涯学習、ボランティア活動、就労的活動、多世代交流、オンラインを使った通いの場など。開催する場所も公民館だけではなく、公園、喫茶店、店舗の空きスペースなど、さまざまな場所が活用されています。

また、「通いの場」には、以下のような数多くのメリットが期待されています。

( 1 ) 高齢者の楽しみや生きがいを見出し、社会参加への意欲を高める。
( 2 ) 定期的な外出スケジュールを立てられ、生活にメリハリが生まれる。
( 3) 気軽に立ち寄れる場所をつくることで、孤立防止につながり、見守りの効果も期待できる。
( 4 ) 他人との会話や身体の活動量が増えることで、健康寿命の延伸、介護・認知症の予防につながる。
( 5 ) 会食などを通じて食生活の向上、口腔機能の向上が図れる。

全国の市町村で実施
「通いの場」への参加方法は?

「通いの場」事業には、すでに多くの自治体が取り組んでいます。2020 年度は、全国の1620市町村(93.0%)、11万3886か所での活動実績が報告されました。

「通いの場」の定義は、市町村による財政支援が行われているものに限りません。また、2020 年に介護保険法が改正された際には、新たに

①自治体の介護保険担当以外の部局が行う、スポーツや生涯学習に関する取り組み
②公園や農園を活用した介護予防につながる取り組み
③民間企業・団体や社会福祉協議会など多様な主体と連携した取り組み
④医療機関や介護保険施設などが自主的に行う取り組み
⑤有償ボランティアなど、就労に類する取り組み

──なども「通いの場」に含まれるとの見解が示され、その範囲が大きく広がりました。

「通いの場」は、シニア世代であれば誰でも参加することができ、楽しみながら無理なく通えるのが特徴です。地域包括支援センターや、お住まいの市町村の介護予防窓口にご相談いただくと、おすすめの通いの場を紹介してもらえます。ご興味を持たれた方は、ぜひ参加なさってみてはいかがでしょうか。

厚生労働省「通いの場」公式サイトでは、同事業に関するさまざまな話題や、全国各地のユニークな取り組み、高齢者の方々が健康を維持するための情報などをご紹介しています。

「地域がいきいき 集まろう!集いの場」
https://kayoinoba.mhlw.go.jp

介護情報誌『あいらいふ』編集部
【誌名】『あいらいふ 2023年6-7月号』
【概要】 初めて老人ホームを探すご家族さまの施設選びのポイントをさまざまな切り口でわかりやすく解説。著名人に介護経験を語っていただくインタビュー記事他、人生やシニアライフを豊かにするためのさまざまな情報や話題を取り上げて掲載。
【発行部数】4万部
【配布場所】市区役所高齢者介護担当窓口・社会福祉協議会・地域包括支援センター・居宅介護支援事業所・訪問看護ステーション・病院・薬局など1万か所

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