あいらいふレポート

【知っトク「注目のトピック」vol.22】『PaTaKaRUSH』に『ベロベロBAR』!?スマホアプリで変わる、オーラルフレイル予防とは?

「最近、滑舌が悪くなった」「食事中にむせやすい」――。そんな変化は、口腔機能の衰えを示す“オーラルフレイル”のサインかも。今回は、発声や舌の動きを使って操作し、ゲーム感覚で楽しみながら続けられる、スマートフォン向けの口腔機能訓練アプリ『PaTaKaRUSH(パタカラッシュ)』に注目します。

口腔機能の衰えが招く 身体機能低下のリスク

「オーラルフレイル(口腔機能の低下)」とは、噛む・飲み込む・話すといった口の機能が、少しずつ衰えていく状態のこと。進行すると、低栄養や身体機能全体の低下を招き、要介護リスクを高める要因になると考えられています。

オーラルフレイルの予防には、発声や舌の運動といった意識的なトレーニングを、日常的に継続して行うことが大切です。

4つの文字をはっきりと発音し、口・舌・喉の筋肉を鍛える「パタカラ体操」はその代表的な例ですが、単調で効果を実感しづらく「必要とわかっていても、長続きしない」という声が寄せられていました。

こうした課題に応えるため、歯科医療機器メーカーの株式会社アイキャットが開発したのが、『PaTaKaRUSH』です。

“声で操作”という発想 ゲームで口腔トレーニング

同アプリの特徴は、プレイヤーの発声でゲームを操作する点。「パ・タ・カ・ラ」の4音を使い、シューティングゲームの感覚で遊びながら口を動かします。

操作は直感的でわかりやすく、年齢を問わずチャレンジしやすい設計。さらに、スマホのカメラで自分の顔を画面に映し、キャラクターになり切る演出も用意されています。

この顔表示は、発声中の口の動きをモニタリングし、トレーニングが適切に行われているかを確認する役割と、普段は見られない自分の表情を映し出す〝面白さ〟の演出を兼ねたもの。楽しさと実用性の両立が、プレイの継続を後押しします。

今度は舌がコントローラー! 新機能『ベロベロBAR』

2026年2月には、『PaTaKaRUSH』に新機能『ベロベロBAR』が追加されました。カメラで口元を映し出し、舌を左右に動かして画面上のバーを操作する、世界初(※同社調べ)の“ベロゲー”です。

ゲーム内容は、昔懐かしい「ブロック崩し」。舌を大きく動かすことで、咀嚼(そしゃく)や嚥下(えんげ)に関わる筋力、「舌圧」を自然に鍛えられます。

「舌も筋肉ですから、口まわりの筋肉と同様に、トレーニングが大切。発声と舌の運動、さまざまな部位を総合的に鍛えることで、効果が高まります」(アイキャット社・十河さん)

音声と顔の動きを同時解析 独自技術が支える精度

あいらいふの40代編集部員が、同アプリを体験してみました。

カジュアルで親しみやすい見た目とは裏腹に、画像認識による操作は非常にスムーズ。画面上の自分の顔の動きには思わず笑ってしまい、時間を忘れてプレイする楽しさがあります。

アイキャット社の代表取締役である西願雅也さんと十河基文さんに、同アプリの開発の背景についてうかがいました。

「アプリの大きな特徴が、音認識と顔画像表示を同時に行う発声評価システムと、舌の動きをトラッキングする画像認識システム。精度向上のため、音声認識AIや舌トラッキングAIは、専用のものを独自に開発しました。

こうした自社の技術によって、単なる“遊び”にとどまらないトレーニングとしての効果と、快適な操作性を実現できています」(西願さん)

楽しさを続ける力に アイキャット社の考え方

アイキャット社は、大阪大学歯学部の研究成果をもとに設立された、大学発ベンチャーです。高度な医療技術を持ちながら、“笑える楽しさ”にこだわるのは、「どれだけ効果的なトレーニングでも、続かなければ意味がない」という考え方から。

「日々のスコアを確認して、次の目標につなげる。トレーニングの頻度と、検査結果を結び付けて理解できる仕組みを提供したかった」(十河さん)

「プレイヤーの顔表示は、面白さの点でも欠かせません。観光地の『顔はめ看板』に、つい顔を入れたくなる心理から着想を得ました(笑)」(西願さん)

現在は、一般ユーザー向けに無料公開しているほか、歯科医院や高齢者向け施設には、クラウドによる管理システムと併せて有償で提供しています。

導入した施設からは、専門職でなくても口腔トレーニングができる、人材不足の現場を支えるツールといった評価に加えて、積極的に声を出す習慣が根付いたことで、ご利用者の会話や笑顔が増えたという声が寄せられているそうです。

続ける仕組みが未来を変える

今後は、アプリの利用状況をもとに、離れて暮らすご家族にご利用者の健康状態を共有する「見守り機能」の導入や、食事・栄養管理アプリとの連携など、さらなる展開の構想も。

西願さんは「楽しみながら続けられる本アプリの仕組みを通じて、口腔機能の維持だけでなく、日々の健康管理全体を支えたい」と語ってくれました。

楽しみながら続けることこそ健康の秘けつ。スマホアプリという新しいアプローチが、口腔トレーニングをより身近なものにしていきます。

取材:あいらいふ編集部 / 資料提供:株式会社アイキャット

豊かなシニアライフのための情報誌『あいらいふ』編集部
【誌名】『あいらいふvol.183(2026年5月28日発行号)』
【概要】初めて老人ホームを探すご家族さまの施設選びのポイントをさまざまな切り口でわかりやすく解説。著名人に介護経験を語っていただくインタビュー記事のほか、人生やシニアライフを豊かにするためのさまざまな情報や話題を取り上げて掲載。
【発行部数】4万部
【配布場所】市区役所の高齢者介護担当窓口・社会福祉協議会・地域包括支援センター・居宅介護支援事業所・訪問看護ステーション・病院・薬局など1万か所

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