INTERVIEW

いま、自分にできることは。本当に情熱を傾けられることは。

ライフコーディネーター 平田 利恵

  • 家族としての介護経験が自分の“強み”

    あいらいふのライフコーディネーターになるまでの経緯をお聞かせください。

    父と母の介護を経験して、お一人でも多く、当時の私と同じ思いをしている方々のお力になりたい!と感じた、そこが私の出発点です。
    父が最初に倒れたのは、49歳の時。脳梗塞を繰り返し、数年後には左半身のマヒで仕事ができなくなってしまったんです。まだ介護保険制度が始まる前で、私は20代でした。父の介護は約20年にわたり、在宅介護、そして老健(介護老人保健施設)を3か月おきに渡り歩く生活を続け、認知症が進んでからは、病院で過ごしました。父を看取ったら、今度は母親です。いまは認知症状のある母を家の近くに呼び寄せて、 毎朝ご飯を届けに行っています。
    父が倒れた当初は、私も家族も“介護”を知らず、もっと身体を動かして!などと父に厳しく接していました。思うように身体が動かない父も反発を強め、暴言や暴力が増えていきました。後に、自分が父を追い詰めていたのではないかと気がついて、介護の勉強を始めたのが、この業界に足を踏み入れたきっかけです。これまでにグループホームでの認知症の方のケアや、老人ホームでの入居相談業務などを担当して、経験を積み重ねてきました。
    社会福祉士を目指して学校に通っていた時期もあるのですが、いま、自分にできることは何なのか、本当に情熱を傾けられることは何なのか。自問自答していたときに思い浮かんだのが、あいらいふの入居相談でした。

  • 一人でも多くのご家族と出会い、お力になる。 決して手は離さない。

    ご相談者とどのように向き合っていますか?

    ご本人・ご家族の抱える辛さ、人には話しづらい気持ちがわかるのが、私の“強み”です。
    私は、ご相談に乗っているご家族が言葉を詰まらせるとき、必ず自分の話をすることにしています。一回の対面に2~3時間かけるときもありますね。 私の話を聞いて、ご家族に「ああ、自分たちだけじゃないんだな」と思っていただきたいんです。
    お話をうかがっていて、本当に私が経験したままだ、と感じることもよくあります。介護をしているご家族の多くは、心に人に言えない辛さを抱えています。相談しようにも、同じ経験をしている人間でないと、なかなかわかってもらえないという怖さ。張り詰めた気持ちがふっと緩んで、涙されるご家族もいらっしゃいます。

  • 人生を選んでもらう、大きな仕事

    ライフコーディネーターとしての一貫したモットーはありますか?

    私にとってライフコーディネーターは、ご相談者とご家族の人生を預かる仕事。その人が右に行くのか、左に行くのか。人生を選んでもらう大きな仕事です。
    電話、メール、連絡手段はいろいろありますが、まずはご様子をお聞かせいただき、ご本人・ご家族のご状況・ご状態に合った形で面談を行います。話せてよかったと思ってもらえるように、納得のいくまでお話をうかがいます。
    条件面などで難しいと感じるご相談でも、よほどのことがない限り、できないとは言いません。私がそう言ってしまったら、目の前のご相談者はどうなってしまうのか。もちろん、最終的な決定を下すのはご本人・ご家族ですが、こちらから手を離すことは決してしません。検討する施設の範囲を広げるほかにも、行政の力を借りたり、社会制度を利用したりと、できることはあります。道は開けると信じて、選択肢は必ず提示します。

  • ご相談者と老人ホームのマッチングのポイントは?

    立地は重要なポイントですね。私はまず、ご自宅の近隣の施設をご案内するところから始めます。私が所属する大宮相談室を選んだのも、もし母に何かあったときにかけつけられる距離だから。いつも自分の立場に置き換えてご提案を行います。
    担当する案件によっては、もしかしたら見学に行くかもしれないと事前に施設側に伝えておいて、お会いした当日に施設見学、ご入居日まで決めることもあります。大切なお仕事を休んで来ているもしれないご家族の、貴重な時間を有効に使うことをいつも心がけています。お話しした後、今日、お時間大丈夫ですかとお聞きして、YESと答えていただいたご家族は、もうきっと心の準備ができていると。これも、私が家族の立場を経験したからこそわかる感覚です。

  • #あなたの力になりたい。

    ご自身とあいらいふの将来を、どのように思い描いていますか。

    埼玉育ちですから、大宮相談室への思い入れは強いですね。この場所でずっと仕事を続けていけたら、と思っています。
    大宮相談室のライフコーディネーターは私以外、全員男性ですが、皆さん頼れる仕事仲間です。あいらいふでの経験はまだまだ浅いので、助言をもらったり、会社としての判断を仰ぐべき場面では、経験豊富な先輩方にサポートしていただいています。どんな風に仕事を進めているのか、聞き耳を立てていることもありますね(笑)。
    将来は、全国の居宅介護支援事業所や地域包括支援センター、病院など、介護に携わるより多くの方々に、私たちあいらいふの存在を知ってほしいと思っています。この仕事を通じて、一人でも多くのご家族と出会い、お力になること。これが私の揺るぎない目標です。

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