INTERVIEW

心はホット、頭はクールに

ライフコーディネーター 藤山利惠子

  • 増加する独居と介護困窮 高齢者の社会課題に向き合う

    藤山さんの経歴を教えてください

    これまでに、デザイン関係、医療業界、不動産営業など、さまざまな分野で経験を積んできました。不動産業界で働いていた時のことですが、独居で暮らすご高齢者によるトラブルに直面する機会が何度もあったんです。その際、一人暮らしのご高齢者が抱える多くの困難を目の当たりにし、この問題が将来、社会的な課題へと発展すると強く感じました。
     
    そんな折、以前の職場の同僚から、あいらいふを勧められて入社しました。現在は入居相談員として、ご相談者お一人おひとりの状況に見合った施設を提案しています。

    また、人生の重要な節目で寄り添い、幅広いご相談に対応する「トータルサポート」の支援にも携わっています。

  • お仕事はどのように進められているのですか

    ご相談者やご家族が見落とされている可能性のある要素を補い「最適な答え」を導き出せるよう心がけています。「なるべくこんな感じの施設がいい」といった理想を持ちながらも、その施設がご入居者のQOL(生活の質)を保ちながら現実的に生活できる場所かどうかを慎重に見極めます。
     
    初めての施設探しには戸惑うことも多いので、ご相談者には、選択肢を可能な限りシンプルに提示し、フローチャートのように二者択一を繰り返す形で、最終的にご本人とご家族が自ら答えを出せたと感じていただけるよう、サポートしています。とはいえ、入居の決断には時間が必要な方も多く、その際には、「他の方ではこんな例もありますよ」や「こちらの施設が合っているかもしれません」など、自然な形で一言アドバイスを加えるようにしています。
     
    さらに、ご相談者を見守ってくださるケアマネジャーやソーシャルワーカーは、緊密に情報共有と議論を重ねます。

    現場で対人援助職の方から、「この人が相談に乗ってくれるなら大丈夫」とご紹介いただければ、お互いの信頼関係をいち早く築けるため、手続きに無駄がありません。

    施設探しには急を要するケースも多い分、こうした周囲の方々とのネットワークづくりを重視し、スムーズにスタートが切れる土台の構築を行っています。

  • 介護の世界に100点の答えはない でも「最適解」を見つけられたら

    信頼を築いていく過程での、コミュニケーションの取り方で心がけている点はありますか

    ご相談に来られる方は皆さん、大変な事情を抱えていらっしゃいますが、心情的には寄り添いつつも、置かれている状況を客観視することもとても大事です。

    医療関係の仕事をしていた時に「心はホットで、頭はクール」という言葉を教えてもらいました。困難を抱えている姿にただ同情したり共感するだけではなく、問題解決のため「どうしてこの方は困っているのか?」を冷静に探るようにしています。

    ご相談に乗る過程では、自分の話もするようにしています。私自身の祖父母の介護経験や、父親の闘病の経験を伝えると、心の距離が近くなります。

    同居している家族にしかわからない日々のちょっとした大変さや、それがストレスとなり少しずつ負担が積み重なることを、理解できるのが私の強みです。

    また、認知症のご家族に対しては、大切な人が変わっていく姿を見るのが辛く、認められないという気持ちも理解できます。そうした介護するご家族のお気持ちを外へ逃がしてあげて、「大切な存在だからこそ離れて、良い関係を続けていくという選択肢もある」とお伝えしていきたいですね。

  • これまでに対応が難しかったケースはありますか

    認知症を持つ男性のケースですが、行く先々で行動障害を起こすため、奥さまがメンタルクリニックに通うほど苦しむ状況に。ご本人のニーズを満たしてくれると考えた施設にご案内したものの、最終的には、服薬による対応になってしまいました。ご家族が望んでいる結果ではありませんでしたが、どうにもならないことはどうしても起こるので、対応に悩むこともあります。

    ただ、どんなケースでもしっかりと人間関係を構築しておけば、次へつながっていくと信じています。難しいご相談への100点の解答はありません。

    ですから、その時々に応じて、常に親身に、これが最適だと思える提案を続けていくのみです。そうすると「今度は母親をお願いしたい」「友人がこんなことに困っている」などと、指名でご相談をいただけることもあり、そこにやり甲斐を感じます。私の名刺を持っていてくださることは嬉しいです。

  • 介護に携わる立場として、今後目標としていきたいことはありますか

    これから先、経済的に厳しい状況に直面するご高齢者が増加することが予想されます。そのため、行政からの依頼を受けて、「経済的な理由で入所にハードルがあるご高齢者のための支援策を検討する」という内容をテーマに講演活動を行っています。

    具体的には、最低限の年金で暮らしている方々をどのように支えることができるか、一緒に考える取り組みを進めています。さらに、ケアマネジャーや訪問看護師の方を対象に、各施設の種類、全体的なコストの概要、高齢者やそのご家族が抱えがちな課題、加えて入所に対する意識など、現場に役立つ最新情報を共有しています。介護に携わる人たちが現状を共有し、課題を減らしていけるようにしたいと考えています。