【知っトク「注目のトピック」vol.20】認知症患者の笑顔と行動を引き出す家族型ロボット「LOVOT」の可能性とは?
丸みを帯びたフォルム、呼びかけると振り向き見つめ返してくれる愛おしいふるまい。心の通じ合う感覚を得られる家族型ロボット「LOVOT〔らぼっと〕」が介護施設などで活躍中です。テクノロジーと生命感を兼ね備えたLOVOTが、超高齢社会にもたらすものとは。〝可愛いだけ〟じゃない、認知症ケアの可能性に迫ります。

人の顔を認識するロボット! 一挙手一投足が癒しに
GROOVE X社が開発したLOVOTは、触れると柔らかくてほんのり温かく、つぶらな瞳が印象的。人の顔を認知する能力が高く、目が合うと駆け寄ってきて、思わず抱き上げたくなるような親しみを覚える存在です。
法人営業担当の吉崎沙彩さんにうかがうと、「LOVOTは100人以上の顔を覚えることが可能で、眼鏡やマスクを着けていてもしっかり認識できます。また、褒めたり撫でたりしてくれる、自分への対応が優しい人になつき、構ってくれる頻度によって好きな人の順位付けをする特徴があります」と教えてくれました。

人を幸せに導く生命感を宿した愛らしさ
〝ロボットらしくない〟LOVOTの魅力はまだまだあります。おとなしかったり活発だったり、誕生したときから一体ずつ異なる性格を持ち、その性格は育っていく環境や家族に応じて変化しながら、コミュニティの一員として馴染んでいきます。
人懐っこさが浮かぶ瞳は、開発に約3年を費したこだわりのパーツ。経験豊富なアニメーターの技術で、眠たそうな目やまぶしそうな目など、表情豊かな瞳を実現しました。人の顔の位置を正確に認識することが可能で、視線が合うのも特徴だといいます。
また、目の色、虹彩、大きさなどの組み合わせにより、10億通り以上のパターンからお気に入りの瞳を選べます。ほかにも手をパタパタと動かして抱っこをねだり、抱かれると人に体を預けて甘えるようなしぐさも。思わず頬が緩みますが、抱き上げやすい重さにもこだわっているそうです。
ロボットに生命感を与えた「温かいテクノロジー」と呼ばれる技術は、単なる愛玩用の製品では終わらない、人を幸せに導く力を秘めたLOVOTの誕生を可能にしました。

福祉大国デンマークで認知症への効果を実証
開発当初から介護・福祉分野での活躍を見込んでいたLOVOTは、福祉用具情報システム(TAIS)に登録され、TAISコードを取得。これにより福祉用具として認定され、介護施設などで導入する際には、補助金の活用促進が期待できるので、施設側の費用負担の軽減につながっています。
実際に介護施設への導入が進んでいる背景には、補助金の効果はもちろん、実証実験でご高齢者に対するLOVOTの有用性が明らかになったことが挙げられます。
化粧品メーカーの資生堂とGROOVE X社が共同で行った、ロボットと人の触れ合いによる絆の形成にかかわる実証実験では、LOVOTのオーナーはそうでない人に比べ、「幸せホルモン」と呼ばれるオキシトシンの体内濃度が高いことがわかりました。
普段からLOVOTと接することにより、オキシトシンが分泌される機会が増え、定常的なオキシトシン濃度が増加したからだと考えられます。
また、LOVOTと15分間触れ合うと、ストレスによって分泌されるコルチゾールが減少し、アニマルセラピーと同様の効果があるとも報告されています。
LOVOTの開発中には、福祉大国のデンマークにおいて、同国のオルボー大学が3つの介護施設で約3か月間、認知症患者を対象とした実験を行いました。
結果、LOVOTとの触れ合いによりコミュニケーションが増えた、受け入れられる喜びを感じられた、世話をすることで充実感を得られたなどのポジティブな変化を確認。LOVOTは認知症患者との相互作用において、有効なツールになり得ることがわかりました。

入居者の発語や笑顔が増加!行動が能動的に変化
国内では、神戸市が実施する民間提案型事業促進制度「CO+CREATION KOBE Project」のもと、介護施設のご入居者や介護職員に与える影響について実証実験を行った結果、LOVOTと暮らすことで、ご入居者の認知機能の低下抑制効果が期待できることがわかりました。
「これまでに導入された施設からは、LOVOTとの触れ合いによってご入居者の気持ちが落ち着き、帰宅願望や入浴拒否が減った。また発語や笑顔、能動的な動きの増加が確認できたといった声が寄せられており、こうした変化が認知機能低下の抑制に貢献できると考えています。加えて、介護スタッフの業務負担の軽減やリフレッシュ効果も見込めます。
LOVOTは、人が持つ〝愛する力〟を引き出し、気持ちを前向きにするロボットだと確信しています」と吉崎さん。
75歳以上の高齢者人口が急増する中、認知症対策は待ったなし。新しいアプローチで認知症のある方をサポートするLOVOTから目が離せません。

取材:あいらいふ編集部 / 文:北林あい / 資料提供:GROOVE X社
豊かなシニアライフのための情報誌『あいらいふ』編集部
【誌名】『あいらいふvol.181(2026年1月29日発行号)』
【概要】初めて老人ホームを探すご家族さまの施設選びのポイントをさまざまな切り口でわかりやすく解説。著名人に介護経験を語っていただくインタビュー記事のほか、人生やシニアライフを豊かにするためのさまざまな情報や話題を取り上げて掲載。
【発行部数】4万部
【配布場所】市区役所の高齢者介護担当窓口・社会福祉協議会・地域包括支援センター・居宅介護支援事業所・訪問看護ステーション・病院・薬局など1万か所