あいらいふレポート

【知っトク「注目のトピック」vol.05】内閣府が2023年版「高齢社会白書」を公表。シニア世代の暮らしはどのように変化しているか?

内閣府から、2023年版の「高齢社会白書」が公表されました。同白書では、高齢化の現状や、政府による高齢社会対策の実施状況など、日本社会におけるシニア世代の現在地ともいえる情報を、毎年報告しています。掲載されたさまざまなデータの中から、一部をご紹介します。

高齢化率は29.0%に上昇
社会活動への参加で健康維持

「高齢化の状況」の項目では、昨年の日本の総人口1億2495万人のうち、65歳以上の人口は3624万人に上り、高齢化率は29.0%と、上昇の一途をたどっていることが報告されました。

平均寿命は、男性81.41歳(健康寿命72.68歳)、女性87.45歳(同75.38歳)で、2010年時点と比べると、男性は1.86年、女性は1.15年延伸しました。また、健康寿命は男性2.26年、女性1.76年と、平均寿命を上回って延びています。平均寿命と健康寿命の差が拡大するほど、介護・医療的ケアを必要とする期間が長期化し、さまざまな社会課題の要因となるため、施策を通じた健康寿命の延伸が強く望まれています。

同白書の今年度の特集「高齢者の健康をめぐる動向」の中で、「健康と社会活動への参加」について尋ねたところ、直近の一年間で社会活動(健康・スポーツ・地域行事など)に参加した人は、健康状態を「良い」と回答する割合が39.4%と高く、平均をおよそ9ポイント上回りました。

「社会活動に参加して良かったと思うこと」の質問には、「生活に充実感ができた」「健康や体力に自信がついた」との回答が多数。また、生きがいを感じる程度は健康状態が良い人ほど高くなっており、両者には強い相関関係が見られました。

就労・コミュニケーション
生活様式にさまざまな変化

「高齢者の暮らしの動向」の項目では、過去10年間の大きな変化として、就業率の向上を挙げました。70歳までの就業確保を努力義務と定めた、2021年の改正高年齢者雇用安定法による就労意欲の下支えなどを背景に、シニア世代の就業率はいずれの年代でも大幅に上昇。70~74歳でも就業率は33.5%と、10年間で10ポイント以上増加しています。

また、コロナ禍の前後で大きく変化したのが、情報機器の活用状況です。インターネットで情報収集をするシニア世代は、2022年時点で50.2%と、5年前の2.5倍に急増しました。対面でのコミュニケーションの減少を補うため、ネットに関する理解が急速に浸透しているようすがうかがえます。

さらに、「携帯電話・スマートフォンで家族・友人などと連絡をとる」シニア世代は、2020年時点で75.7%となり、10年前の約1.5倍に増加。就労、コミュニケーションのいずれにおいても、シニア世代がさまざまなチャンネルを通じて、社会と積極的に関わっている姿が浮き彫りになりました。

同白書では、このほかにも高齢社会の動向に関するさまざまな資料やデータ、取り組みをご紹介しています。ご興味のある方は、内閣府Webサイトに掲載された全体版をぜひご覧ください。

内閣府の公式サイトにて概要版、全体版が公開されています。また、印刷されたものは全国の政府刊行物サービス・センター、官報販売所などで購入できます。

「高齢社会白書」 https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/index-w.html

介護情報誌『あいらいふ』編集部
【誌名】『あいらいふ 2023年8-9月号』
【概要】 初めて老人ホームを探すご家族さまの施設選びのポイントをさまざまな切り口でわかりやすく解説。著名人に介護経験を語っていただくインタビュー記事他、人生やシニアライフを豊かにするためのさまざまな情報や話題を取り上げて掲載。
【発行部数】4万部
【配布場所】市区役所高齢者介護担当窓口・社会福祉協議会・地域包括支援センター・居宅介護支援事業所・訪問看護ステーション・病院・薬局など1万か所

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