高齢者の早期退院がよい理由

「退院」は身体がよい方向に進んでいる合図です。自宅で心身の回復を。

「急に退院を告げられた」「まだ元通りに回復していないのに」。入院の継続を望む患者やそのご家族は少なくありません。退院に直面して動揺するのはもっともなことです。しかし、病院はあくまでも治療の場であり、治療の完了は必ずしも「入院前と同じ状態になる」ことを意味するわけではありません。治療後に必要な療養は、退院してから行うことが心身の回復に大切なことです。

早めの退院で、身体機能の回復や認知症のリスクを低減させる

　医師や看護師が常に対応してくれる入院生活は安全である半面、限られた空間と乏しい刺激の中で過ごすことになり、長期にわたれば身体機能のさらなる低下や、認知症のリスクがあります。早期に退院することにより、そうしたリスクを避けることができます。自宅復帰への不安を解消するために、何が不安なのか、まず、問題点を明確にしてみましょう。

廃用症候群に注意！

廃用症候群とは、病気やケガなどの治療のため、長期間にわたって安静状態を継続することで、身体機能の大幅な低下やせん妄など精神状態に悪影響をもたらす症状のことをいいます。ベッド上の絶対安静の状態では、1日約3%、1週間では約20%の筋力が低下するといわれています。

お医者様の気持ちは？？

かんたん check!

自宅療養に向けて不安なことは何ですか？

退院は、何となく不安なもの。不安の原因を整理して解消していきましょう

日常生活

食事の用意・片付け

栄養摂取・水分摂取

入浴・清潔の保持

更衣・身だしなみ

掃除・洗濯

火気類の始末

室温管理

排せつ・オムツの着脱

金銭・通帳管理

外出

買い物

散歩・外気浴

戸締まり・鍵の管理

徘徊のおそれ

全般・その他

ケアマネジャーとのやり取り

詐欺被害・防犯

近所トラブル・引きこもり

急変時の119 番通報

医療面

通院・その手配

服薬・薬の管理

自己注射

胃ろう・点滴

住まいの状況

階段・段差

手すり

ベッド・布団

照明

家族の支援

本人が独居生活

日中帯に独居になる

老老介護

1 日3 食の食事介助

入浴介助・見守り

排せつ介助

生活支援全般

すべての項目を踏まえた上で、家族の支援はどこまでできるか