あいらいふレポート

第19回 まごころサミット2024 高齢化時代のまちづくりに向けて 200社以上にひろがるネットワーク

5月18日、東京・港区の会場で、「第19回 まごころサミット2024」が開催されました。あいらいふもフランチャイズ加盟するシニア世代の生活支援事業「まごころサポート」は、現在、全国に200社以上の加盟店ネットワークを構築しています。

近年、同ネットワークからさまざまなシニア向けビジネスが新たに派生し、各地でいっそうのひろがりを見せる中、半年に一度、加盟店が情報共有やアップデートのため一堂に会する同サミット。熱気にあふれた、会場のもようをお届けします。

シニア世代の生活支援事業
「まごころサポート」とは?

MIKAWAYA21株式会社が運営する「まごころサポート」は、全国200社以上の加盟店を拠点に、「コンシェルジュ」と呼ばれる地域スタッフが、依頼を受けてシニア世代のご自宅を訪問し、日常生活の中のお困りごとをワンストップで解決するサービスです。

現在は、老人ホームの紹介業をメイン事業としながら、将来の「シニア世代のトータルサポートカンパニー」への成長を目指すあいらいふも、「まごころサポート」のフランチャイズに加盟しています。

また、近年は、「まごころサポート」200社のネットワークを活かしたシニア世代向けの新事業が次々と立ち上げられています。あいらいふも、MIKAWAYA21との共同プロジェクトとして、全国の加盟店を対象に参加を募り、20年以上にわたる老人ホーム紹介のノウハウを活かして入居相談事業を行っていただく「まごころ入居相談」を、2023年12月から開始しています。

ひろがる200社のネットワーク
全国から加盟店が参集

5月18日、東京・港区のTKPガーデンシティPREMIUM 品川HEARTで、「第19回 まごころサミット2024」が開催されました。

まごころサミットは、全国の「まごころサポート」加盟店からオーナーやマネージャーが参加し、情報共有や学びを深める、半期に一度の大規模な集いです。あいらいふからも代表の藤田敦史を含め、店舗の責任者ら複数名が参加しました。

今回のサミットのテーマは、『さぁ進もう!仲間たちと育むまちの未来へ』。1日をかけて、コンシェルジュという“新しい働き方” と、「まごころサポート」、そこから派生した新たなシニア向けビジネスが、地域へ拡大していくヒントを得るための講演や対談が行われました。

「まごころコンシェルジュ」と
ともに目指す“新しい働き方”

開会あいさつでは、MIKAWAYA21の青木慶哉社長が登壇。多数の参加者への感謝を示すとともに、今回のサミットを、コンシェルジュという“新しい働き方”について、あらためて振り返る機会と位置づけたと述べました。

MIKAWAYA21㈱・青木慶哉社長による開会の辞

青木社長は自身が感銘を受けた一冊として、2011年に出版されたセス・ゴーディン氏の著作『「新しい働き方」ができる人の時代』を紹介。同書が、インターネット上のプラットフォームサービスを介して仕事を請け負う「ギグワーカー」の登場を予見していたと語りました。

また、人材不足が深刻な日本において、抜群の成長を見せるアルバイトマッチングアプリ「タイミー」や、管理職を置かず、少人数のチームに裁量や決定権を委ねる組織づくりで、オランダ人気No.1の就職先に成長した介護福祉系ネットワーク「ビュートゾルフ」などを列挙。

「まごころサポート」のコンシェルジュという役割を、主体性・創造性を発揮しながら、シニアのサポートとまちづくりに貢献する“新しい働き方”に育てることが、将来、「まごころサポート」の展開するすべてのシニア向けサービスの土台になると述べました。

また、介護保険制度をはじめとする社会保障給付の縮小傾向と、それに伴い、介護分野において民間企業が担う役割がますます拡大することに触れ、

「具体的にやるべきことをしっかりとデザインできている企業・団体は、まだまだ足りていないように感じる。私たちは設立から12年間、『まごころサポート』事業に取り組み、皆さんと一緒にアイデアを出し合う中で、国や省庁からも期待のかかるビジネスモデルを生み出すことができた」と言及。

シニア世代の住環境整備による新たなまちづくりを目指す、MIKAWAYA21の新事業「まごころアパート」をはじめ、高齢化社会をビジネスによって支える新しいチャレンジへのさらなる参加・協力を、加盟店オーナーに呼びかけました。

法改正で変わるシニアの住環境整備
「まごころアパート」の可能性

続いて、MIKAWAYA21の社外取締役・平川健司さんによる基調講演 「時代の変化を見据えて、今、やるべきことをやりましょう!」が行われました。

講演では、団塊の世代が後期高齢者となり、要介護者が急増する時代を目前に、民間企業によるシニア向けサービス市場は急速な拡大を迎えると指摘。「シニアのエージェントとして、ワンストップでサービスを提供する」MIKAWAYA21の企業理念にもとづき、

①生活支援事業、②エイジテック事業、③新しい不動産事業、④シニアの生きがい創出事業、⑤民間の介護保険事業の5事業を、「まごころサポート」ネットワークの新たな中核ビジネスに位置づけると述べました。

このうち、③新しい不動産事業に位置づけられる「まごころアパート」については、ICT(情報通信技術)を活用した見守りと、コンシェルジュによる生活支援、自己実現のためのコミュニティビジネスが一体となった、シニアのための住環境整備事業と説明。

不動産市場の活性化に加えて、高齢者の住宅問題、空き家問題などを一挙に解決する、競争力を備えた新ビジネスと紹介しました。

また、国会で審議中の「住宅セーフティネット法」改正に言及し(※5月30日に改正案が成立)、同法の規定により新たに設立される「居住サポート住宅認定制度」について、国土交通省モデル事業にも選定されている「まごころアパート」の構想が政策に取り入れられていると解説。

制度の運用開始までの時間が限られる中、「まごころアパート」が良いスタートダッシュを切れるかどうかは、どれだけ地域の自治体や関連機関の信頼を得られるかにかかっていると述べ、

先導的な実証実験による事例づくりとともに、「まごころサポート」の地域への浸透が不可欠であると、加盟店への協力を呼びかけました。

著名な経営者をゲストに招き対談
“共感”でつながる居場所づくり

午後からは、青木社長がホスト役を務め、著名な経営者をゲストに招いての対談を実施。福田和則さん、家入一真さんが登壇すると、会場は大きな盛り上がりを見せました。

経営者同士の対談は熱のこもった展開に(左から家入一真さん、福田和則さん、青木社長)

三人とも40代、アラフィフの同世代(※5月18日時点)。青木社長は、「お二方は個人的にも尊敬している経営者であり、加盟店の方々にぜひお話を聞いていただきたかった」と紹介しました。

株式会社エンジョイワークス代表の福田さんは、外資系金融機関の勤務を経て、2007年に同社を設立。 行政や事業者任せにしない、まちづくりや家づくりの“ジブンゴト化”による豊かなライフスタイルの実現をテーマに、不動産および建築分野で事業を展開されています。

一方、家入さんは、現在も代表を務める国内最大のクラウドファンディング「CAMPFIRE(キャンプファイヤー)」や、ネットショップ作成サービス 「BASE(ベイス)」など、数々の新規事業を立ち上げてきた“連続起業家”。

ご自身の目標を、さまざまな人々の居場所づくりと語り、起業や投資を通じて生きづらさを解消する、“資本主義のアップデート”に取り組んでいます。

対談では、「共感を生むコミュニティの形成とマネタイズ」をテーマに意見交換。

福田さんは「自分らしく生きているまちの皆さんと出会うため、一緒にまちを、地域を盛り上げていくための手段として、不動産や建築を扱っている」と語り、一例として、ご自身が地元の皆さんとともに費用を集めて取り組んだ、神奈川県の三浦半島・葉山の古民家再生プロジェクトを紹介しました。

家入さんは、学校になじめなかったご自身の経験をもとに、インターネットを活用したサードプレイス(自宅や学校、職場以外の、居心地の良い「第三の場所」)づくりを志し、さまざまな事業を立ち上げた経緯を紹介。

「失敗を受け入れてくれるコミュニティがあって、人は初めて挑戦できる」と述べ、ビジネスを通じて、より多くの居場所づくりと、人々の課題解決に貢献できればと語りました。

また、「まごころアパート」事業の取り組みに対しては、

「日本が人口減社会を迎え、経済の縮小や税収減によって、自治体に対してこれまで通りのサポートを期待することが難しくなる中、支え合える共同体の存在は絶対に必要。人々が緩やかにつながることができる、こういった“居場所”がこの先、さまざまな機能を担っていくことになる」と、お二方から賛意が寄せられました。

最後に、シニアの輝くまちづくりに取り組む、「まごころサポート」加盟店の皆さんに対して、福田さんからは「まちづくりの本質はシステムではなく、人。関わり合いの輪の中で積み上げた小さな物語が、その地域の魅力に変わっていきます」

家入さんからは「社会を変えるビジネスは1、2年で達成できるものではありません。長く続けるため、打席に立ち続けるために最も大切なものは、明確なビジョン。皆さんはすでに明確なビジョンをお持ちです」と、エールが送られました。

「ジーバーFOOD」は全国展開へ
おしごと説明会の開催レポート

続いて行われた「おしごと説明会の開催レポート」では、まごころサポート加盟店であり、MIKAWAYA21との提携による新事業「ジーバーFOOD」を手がける株式会社ユカリエの永野健太社長が登壇しました。

㈱ユカリエ・永野健太社長が語る、シニア向けビジネスの“新しい働き方”

「ジーバーFOOD」は、ユカリエが本社を置く宮城県仙台市を中心に、地元のおばあちゃんたちがこしらえた健康的な手作り弁当を、市内の企業や団体に宅配するサービスです。

ユカリエでは現在、立ち上げから1年半の経験をもとに、加盟店の協力を得て「ジーバーFOOD」の全国展開に乗り出しており、今回は、“仲間集め”のための「おしごと説明会」の開催状況について報告。

あわせて、「ジーバーFOOD」を単なるお弁当の宅配事業ではなく、シニア世代に“新しい働き方”を提供するコミュニティビジネスとして、食堂やカフェ、既存の飲食店のサポートなど、さまざまな形式で運用する新構想を発表しました。

永野社長は「この1年半で学んだことは、コミュニティビジネスにはまさに“新しい働き方”が必要だということ。シニア世代に輝いてほしいと思って始めた事業だが、会社が決めたシフトに従ってもらうといった古い考え方ではうまくいかなかった。

私たちはサポートに回り、おばあちゃんたちが仲間同士で話し合って、自分たちで決めていく。働き手の主体性・創造性が、仕組みや考え方ひとつでこれほど大きく変わるのかと実感させられた」と述べ、進化を続ける「ジーバーFOOD」事業への手応えを語りました。

加盟店向け表彰から閉会式まで
京都あいらいふ店が2部門受賞

その後は、レクリエーションを挟んで、加盟店を対象とした表彰式が行われました。

あいらいふは「たくさんの会話でシニアを元気にしたで賞」(会話登録数)で京都あいらいふ店が第1位、「シニアをたくさんサポートしたで賞」(サポート依頼件数)で京都あいらいふ店が第1位、東京武蔵野あいらいふ店が第2位を受賞。

それぞれ「多くの会話を通して、シニアやご家族、またケアマネジャーや地域の方々に元気を与えてくれました」「シニアやご家族、ケアマネジャーへのたくさんのサポートで地域を支え、強い信頼関係を築いてくださいました」と表彰のことばをいただくことができました。

あいらいふも表彰状をいただきました

閉会式では、青木社長が再び登壇。「コンシェルジュを“仲間”ととらえる、新しい働き方のための組織づくり。そして、シニアとコンシェルジュの集う居場所づくりを実現する、新たなビジネスへの果敢なチャレンジ。今回のサミットで学んだこの二つを、本日の“みんなの約束”としたいと思います」の結びのことばとともに、サミットは終了しました。

次回、11月のサミットが、MIKAWAYA21の参加するスマートシティ構想が進行中の富山県で開催されることが発表され、その後は参加者・スタッフ勢ぞろいで記念撮影が行われました。

最後は、別室で懇親会を盛大に開催。全国各地から参集した加盟店のオーナーやマネージャーが地域の垣根を越えて交流を図り、「まごころサポート」ネットワークのさらなる成長と、半年後の再会を誓って、盛況のうちに散会となりました。

取材・文/あいらいふ編集部
撮影/近藤 豊

介護情報誌『あいらいふ』編集部
【誌名】『あいらいふ』 vol.172(8-9月号)
【概要】 初めて老人ホームを探すご家族さまの施設選びのポイントをさまざまな切り口でわかりやすく解説。著名人に人生観を語っていただくインタビュー記事のほか、人生やシニアライフを豊かにするためのさまざまな情報や話題を取り上げて掲載。
【発行部数】4万部
【配布場所】市区役所高齢者介護担当窓口・社会福祉協議会・地域包括支援センター・居宅介護支援事業所・訪問看護ステーション・病院・薬局など1万か所

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