あいらいふレポート

【知っトク「注目のトピック」vol.06】アクセスできない「デジタル遺品」は遺族の悩みの種。生前から準備しておきたいトラブル回避のポイントとは?

近年、急速に進むシニア世代へのデジタル機器の普及に合わせて、故人のPCやスマートフォンの中に残された「デジタル遺品」に関するトラブルが急増しています。今回は、生前整理の方法や、民間の事業者が提供するサービスなど、トラブル回避のポイントをご紹介します。

故人のデータが確認できない
PCがブラックボックスに

「デジタル遺品」とは、故人がPC・スマートフォンなどのデジタル端末、もしくはクラウドサービス内に保存していたデータや、各種SNSのアカウント情報などを指します。

一昔前であれば、ご家族やご親族が亡くなった場合でも、ご本人の部屋を探せば写真や日記、名簿、銀行の預金通帳など、死後の引き継ぎに必要な資料を見つけ出すことができました。

しかし、現代ではシニア世代であっても、各種手続きをインターネットに移行させる方が増えています。これらのデジタル機器には基本的にパスワード制限がかかっているため、遺品を整理中のご遺族が中身を確認することができません。

ブラックボックス化した「デジタル遺品」は、ご遺族に以下のようなリスクをもたらします。

  1. 写真や日記など、故人の思い出となるデータが取り出せない。
  2. 端末内の連絡先にアクセスできず、故人の知人に葬儀の連絡などを取ることができない。
  3. 故人が利用していた銀行口座や金融機関がわからず、ご本人の資産状況が把握できない。
  4. 故人がインターネット上で行った借金や金融取引が精算されず、放置されてしまう。
  5. 故人が加入していたオンライン定額サービスから退会できない。

「デジタル生前整理」は不可欠
死後は専門業者による解決も

デジタル遺品にまつわる多くのトラブルを予防するためにも、早いうちから「デジタル生前整理」を済ませておくことが大切です。

①不要なデータは日常的に処分

日頃から不要なファイルを削除する習慣をつけましょう。死後に残したい写真やデータは、ハードディスクドライブ(HDD)など物理的な環境に保存します。ご家族に遺したいデータと、他人に見せたくないデータを分けて管理することも重要です。

②エンディングノートを書く

書店などで購入できる「エンディングノート」は、ご自身に万が一のことがあった場合に、ご家族が最低限知っておきたい事柄がわかりやすく確認できるように作られています。利用しているWebサービスを、一覧として記録できるノートを選びましょう。

SNSやメール、各種定額サービス、通信販売サイトなど、保有しているアカウントとそのパスワードの記録は必須です。「サービス名」「アカウントID」「登録メールアドレス」「パスワード」の4点は必ず書き残しましょう。特に重要なのは、銀行口座、金融取引、定額サービスに関する情報です。あまり使わない口座は、あらかじめ解約しておきましょう。

また、近年は、ご遺族に代わってパスワードの解除や、データの復旧・取り出し・削除などを行う専門業者の参入も盛んになっています。ご本人がすでに亡くなっている場合は、専門業者に任せることもご検討ください。

デジタル庁では、「デジタル遺品」などの問題に対応するため、死亡や相続に関する一連の手続きについて、将来のオンライン化・ワンストップ化を目指す構想を掲げています。

「死亡・相続ワンストップサービス」

https://www.digital.go.jp/policies/inheritance_onestop_service/

介護情報誌『あいらいふ』編集部
【誌名】『あいらいふ 2023年10-11月号』
【概要】 初めて老人ホームを探すご家族さまの施設選びのポイントをさまざまな切り口でわかりやすく解説。著名人に介護経験を語っていただくインタビュー記事他、人生やシニアライフを豊かにするためのさまざまな情報や話題を取り上げて掲載。
【発行部数】4万部
【配布場所】市区役所高齢者介護担当窓口・社会福祉協議会・地域包括支援センター・居宅介護支援事業所・訪問看護ステーション・病院・薬局など1万か所

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