あいらいふレポート

【イベントレポート】こんなまちなら、歳を重ねるのも楽しくなる。シニアの生きがい&街おこしイベント「おせっかい商店街」を京都あいらいふ店が初開催

株式会社あいらいふと、有料老人ホーム・グループホームの運営を全国規模で手がける株式会社エクセレントケアシステム、多世代まちづくり団体「コノチカラ」は、4月13日、京都市北区で、シニア世代の生きがいづくりと街おこしを目的とした地域参加型イベント「おせっかい商店街」を開催しました。

認知症の方に活躍していただく機会をプロデュースするイベントの開催は、あいらいふにとって初の試みとなります。「あいらいふ」編集部が一日密着しました。

誰もが“活躍できる”社会へ
シニアとみんなの居場所づくり

今回のイベントの会場となったのは、“地域の人々とシニア世代の居場所づくり”を目的として「まごころサポート京都あいらいふ店」が運営する食堂「Wonder Dining SOW」です。同店舗が立地する、新大宮商店街の全面的な協力を得て実施されました。

新大宮商店街は、北大路通から北山通までの約1㎞をつなぐ、京都市内で最長の商店街。一休さんで有名な大徳寺の門前町として栄えた由緒あるエリアで、地元住民との結びつきも強く、現在も地域に根差した交流活動が特徴です。

あいらいふが企画した「おせっかい商店街」には、シニア世代の生きがいづくりと街おこし、という二つの目的があります。

① 認知症になっても、ワクワクできる社会を目指して

認知症をお持ちのシニア世代が、一日限定で飲食店のスタッフに。買い出し、調理、接客といった体験を通じて、“社会の役に立つ”達成感や充実感を味わっていただくことを目指します。

当事者が働き手として活躍することで、認知症になっても尊厳をもって暮らせる社会の実現を訴えます。

認知症は、誰にでも起こり得るもの。だからこそ、ご本人の「やりたい」気持ちを積極的に支える、地域社会の仕組みが必要です。

一人でかなえることが難しくても、周囲の人たちが「おせっかい」になれば実現できる。「おせっかい」は、「される側」にも「する側」にも、自己表現と社会参加の機会を創出します。

② 商店街に新しい役割を、もっともっと魅力的に

「商いは、誰かのお困りごと解決や願いをかなえるためにある」。全国各地で、増加する空き店舗。しかし、地域に根差し、人と人のつながりを基盤として成り立つ商店街が、社会に対して担える役割は、まだまだ、たくさんあるのではないでしょうか。

笑顔あふれる多世代間の交流
手をつないで、ともに歩む

4月13日に開催された第1回の「おせっかい商店街」には、エクセレントケアシステムが京都市内で運営するグループホームに入居中の女性4名(漆山さん、西川さん、林さん、保田さん)に、「おしごとにん」としてご参加いただきました。

前日に飛び入りで参加してくれた小学生の女の子たちを含む、ボランティアの「おせっかいにん」に見守られながら、特製の「チキンカレーセット」を準備。11時~14時にかけての3部制で、約30人の「おきゃくさま」をおもてなししました。

イベント当日は、朝9時から、参加者の皆さんが勢ぞろい。簡単なミーティングを経て、食材の買い出しからスタートしました。

商店街の「かしわの玉吉」さんで鶏肉、「福井屋豆腐店」さんで豆腐を購入するまでの道のりは、女の子たちが手をつないでサポート。元気いっぱいの小学生との交流に、おしごとにんの皆さんの顔も晴れやかです。

買い出しは手をつないで

また、調理では、おしごとにんの方に積極的に包丁を握っていただいたところ、想像以上の手際の良さに、参加者一同、びっくり。料理の提供や接客といったおもてなし全般も、ユーモアを交えながらスムーズにこなしていただきました。

おきゃくさまとしてご来店いただいた、おしごとにんのご家族からは、「妻の手料理を、もう一度食べられるとは思わなかった」(西川さんご家族)、「母の笑顔をこんなに見られたのは、久しぶり」(漆山さんご家族)と、こぼれる笑顔とともに、心温まる感想を聞くことができました。

昼過ぎからはあいにくの雨もようとなったものの、店舗の前には変わらず見学の人だかりができる盛況ぶり。最後は、商店街で使える地域通貨を利用して、おしごとにんの皆さんには給与、おせっかいにんのみなさんには謝礼が手渡され、満場の拍手の中、イベントは幕を閉じました。

「コノチカラ」のメンバーを務める新大宮商店街の平元俊一さんは、「この場で生まれた素敵な人と人のつながりを、まちづくりや多世代共生の力に変えていきたい」と振り返り、参加者をねぎらいました。

今回のイベントは、あいらいふにとって、認知症と診断された方の自己実現をお手伝いするとともに、街おこし、多世代共生の居場所づくりを目指す初めての試みでした。

参加者のみなさんからは、大変前向きな評価をいただき、あいらいふのビジョンである「介護の悩みのない社会」の実現に向けた、確かな一歩となりました。

京都あいらいふ店の「おせっかい商店街」は、今後も、定期的な開催を検討しています。また、あいらいふでは、引き続き“すべての人が生きやすい”社会の多様性を実現するためのイベントを企画して参ります。

認知症になっても、ワクワクできる社会を目指して。

「おせっかい商店街」を企画した、
京都あいらいふ店責任者の鈴木孝英

ドキドキの顔合わせ。一緒に手をつないで歩いた商店街。久しぶり、けれど忘れていない包丁さばき。料理を運ぶ真剣な顔。おいしいと言ってもらった時の笑顔。

ひとことではとても説明できない、豊かな時間が流れていました。

おしごとにん、おせっかいにん、おきゃくさま、すべての皆さんがこの舞台の主人公として、それぞれの役割を楽しんでいただけていたら、これ以上の喜びはありません。

認知症であってもなくても幸せに暮らせるまち、優しさとワクワクのある商店街、誰もが主人公として生きられる世界。

今回のイベントは、素晴らしい一つの作品になりました。そして、これがイベントではなく、当たり前の日常になるまでチャレンジは続きます。ありがとうございました!

取材・文・撮影:あいらいふ編集部

豊かなシニアライフのための情報誌『あいらいふ』編集部
【誌名】『あいらいふ vol.177(2025年5月29日発行号)』
【概要】 初めて老人ホームを探すご家族の、施設選びのポイントをさまざまな切り口でわかりやすく解説。著名人に介護経験を語っていただくインタビュー記事のほか、人生やシニアライフを豊かにするためのさまざまな情報や話題を取り上げて掲載。
【発行部数】4万部
【配布場所】市区役所の高齢者介護担当窓口・社会福祉協議会・地域包括支援センター・居宅介護支援事業所・訪問看護ステーション・病院・薬局など1万か所

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