【費用】老人ホームにかかる費用の目安
100歳までの支払額を「見える化」して不安を解消
身体状況の変化を考慮して、費用は最大値で試算しておく
高齢社会白書(平成29年度)によれば、60歳以上の世帯の平均貯蓄額は2396万円で、高齢者の貯蓄の目的は「万一の備えのため」が5割弱を占めています。先々の医療や介護費用がどれだけ必要になるかは不透明で、家族に迷惑をかけることへの不安がうかがえます。
では有料老人ホームに終身入居した場合、月額や、退去するまでの総額は、実際にいくらかかるのでしょうか。こうした声にお答えするため、2つの試算を用意しました。老人ホームに入居する平均年齢である84歳から、100歳までを視野に試算しています。「長い」と感じるかもしれませんが、資金困難に陥る不安を入居後も抱えたまま過ごすことを考えれば、実はベターな試算です。
老後の資金は、わずかな蓄えと国民年金のみという方でも、都心を避けて郊外型のホームを選択し、無理なく入居されているケースはよくあります。とはいえ将来的に不足が生じたら、ご家族が費用を補てんする心構えは持っておきたいものです。
入居相談員さんの気持ちは?
有料老人ホームに終身入居したら…。
「毎月、実際にかかる費用はどのくらい?」
「貯蓄と年金でまかなうことができる?」
そんな疑問にお答えするため、
2つのモデルケースによる
入居相談員 シミュレーションをご提示します。
平均入居年齢は「84歳」。
100歳をホームで迎えたときをシミュレーション
シミュレーション1
■Aさんの場合
<有料老人ホーム>
都下の標準的なホーム
・入居一時金300万円
・月額費用19万円
Aさん
- 貯蓄
- 1,500万円
- 入居年齢
- 84歳
- 要介護
- 3
- 年金月額
- 190,000円/月
毎年、実際に支払う額
- 家賃
- 70,000円
- 管理費
- 60,000円
- 食費
- 60,000円
- 介護保険自己負担
- 28,000円
- オムツ代
- 15,000円
- 医療・薬代
- 5,000円
- レク・小遣い
- 5,000円
- 合計月額費用
- 243,000円
■毎月、実際に支払う額
月額費用243,000円-年金月額190,000円=53,000円
■毎年、実際に支払う額
53,000円×12ヶ月=636,000円
Aさんの貯蓄残高の推移
■84歳時点
貯蓄15,000,000円ー入居一時金3,000,000円=12,000,000円
■90歳時点
貯蓄12,000,000円ー(年間支払額636,000円×7年)=7,548,000円
■95歳時点
貯蓄7,548,000円ー(年間支払額636,000円×5年)=4,368,000円
■100歳時点
貯蓄4,368,000円ー(年間支払額636,000円×5年)=1,188,000円
ワンポイントアドバイス
「入居金制度」は入居金タイプと月払い(入居一時金0円)タイプの2種類がある
(1)入居金タイプと月払いの選択は「償却期間」に注目する
(2)償却期間以上の滞在なら入居金タイプがお得
(3)「償却期間」内に退去した場合は、返還金制度があるので安心
シミュレーション2
■Bさんの場合

<有料老人ホーム>
一般的な郊外ホーム
・入居一時金0万円
・月額費用12万円
Bさん
- 貯蓄
- 300万円
- 入居年齢
- 84歳
- 要介護
- 5
- 年金月額
- 155,000円/月
毎年、実際に支払う額
- 家賃
- 50,000円
- 管理費
- 30,000円
- 食費
- 40,000円
- 介護保険自己負担
- 28,000円
- オムツ代
- 15,000円
- 医療・薬代
- 5,000円
- レク・小遣い
- 1,000円
- 合計月額費用
- 169,000円
■毎月、実際に支払う額
月額費用169,000円-年金月額155,000円=14,000円
■毎年、実際に支払う額
14,000円×12ヶ月=168,000円
Bさんの貯蓄残高の推移
■84歳時点
貯蓄3,000,000円ー入居一時金0円=3,000,000円
■90歳時点
貯蓄3,000,000円ー(年間支払額168,000円×7年)=1,824,000円
■95歳時点
貯蓄1,824,000円ー(年間支払額168,000円×5年)=984,000円
■100歳時点
貯蓄984,000円ー(年間支払額168,000円×5年)=144,000円
ワンポイントアドバイス
入居金タイプがあれば月払いタイプから途中変更も可能
(1)ホームで馴染めるか不安が解消された場合
(2)入居後に元気を取り戻した場合
(3)不動産売却後に切り替える方法もあり