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自宅介護の処方せん ~専門家集団に聞いて歩けば~

                       

― 医療ソーシャルワーク室だより ― Vol.6

地域包括ケア病棟

地域包括ケア病棟は、良質な在宅・生活復帰支援を提供する
インタビュイー写真

早稲田大学 大学院 人間科学研究科  博士後期課程 ・ 医療ソーシャルワーカー

影山康博

早稲田大学人間科学部卒業。アメリカ合衆国にて大学院正規留学。現在、早稲田大学に在籍する一方、MSWとして救急医療機関に常勤で在籍。社会福祉士国家資格保有。主たる研究テーマは、急性期医療機関におけるMSWと退院支援看護師の協働促進。所属学協会は、日本医療マネジメント学会、日本在宅ケア学会、日本看護福祉学会、日本保健福祉学会、日本社会福祉士会、東京社会福祉士会。日総研出版発行の隔月刊誌、『地域連携 入退院と在宅支援』にて連載を執筆。

 これまで、「急性期病棟」「療養病棟」「回復期リハビリテーション病棟(以下、回リハ病棟)」について紹介しました。今回は、「地域包括ケア病棟」について紹介します。
 「地域包括ケア病棟」は、2014年に新設された病棟です。急性期医療を終えたが、在宅復帰するために、継続治療やリハビリをあと少し必要とする方が入院の対象です。回リハ病棟との違いが分かりにくいとも言われていますので、その違いを2つ簡単に述べます。
 第一に、回リハ病棟では入院対象疾患と、疾患別に傷病発症から入院までの期間が国で定められていますが、地域包括ケア病棟ではいずれも定められていません。第二に、回リハ病棟では疾患別に入院日数の上限が国で定められていますが、地域包括ケア病棟では疾患にかかわらずその上限が60日と定められています(実際には個々の地域包括ケア病棟の指標があります)。この日数の範囲内で、治療やリハビリを行って在宅復帰できると判断されれば、地域包括ケア病棟に入院できる可能性は高いと言えます。

 

 

自宅介護者の強い味方となる「地域包括ケア病棟」

 

 

 地域包括ケア病棟は、急性期医療を終えた患者様に継続治療を行える体制を有し、在宅・生活復帰支援体制とリハビリテーション体制を充足させています。こうした特性を持つ地域包括ケア病棟の主たる役割は、「急性期病棟から入院を受けること」「在宅から入院を受けること」です。これらの役割から、自宅介護者をしっかりとフォローする病棟と説くことができます。また、私が連携・協働する地域包括ケア病棟について言えば、自宅で介護するご家族に一時的な休息を提供する「レスパイト入院」という制度を積極的に実施しており、この点でも自宅介護者の強い味方となる病棟とすることができます。
 最後に、急性期病棟医療ソーシャルワーカーの視点で言うと、急性期医療が終了した患者様の安全で安心な退院を考えるとき、質の高い在宅・生活復帰支援を受けて自宅退院を目指せるという点で、地域包括ケア病棟はとても有力な転院先となっています。

2018.03 あいらいふ 掲載

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