
自宅介護の処方せん ~専門家集団に聞いて歩けば~
― 医療ソーシャルワーク室だより ― Vol.5
回復期リハビリテーション病棟

早稲田大学 大学院 人間科学研究科 博士後期課程 ・ 医療ソーシャルワーカー
影山康博
早稲田大学人間科学部卒業。アメリカ合衆国にて大学院正規留学。早稲田大学に在籍する一方、救急医療機関の医療ソーシャルワーカーとして勤務。主たる研究テーマは、急性期医療機関におけるMSWと退院支援看護師の協働促進。日本医療マネジメント学会、日本看護福祉学会、日本保健福祉学会に所属。社会福祉士国家資格を保有。日総研出版発行の隔月刊誌、『地域連携 入退院と在宅支援』でも連載原稿を執筆中、監修も行う。
現在、医療機関にはいろいろな種類の病棟があり、前号では、「急性期病棟」と「療養病棟」について紹介しました。今回は、集中的なリハビリテーションを実施し、日常生活動作能力の向上を目指す、「回復期リハビリテーション病棟」について紹介します。
「回復期リハビリテーション病棟(以下、回リハ病棟)」は、2000年に創設された病棟です。特定の疾患(脳血管疾患や大腿骨頸部骨折など)で急性期医療を終え、自宅復帰・社会復帰・職場復帰・地域生活への復帰を目標とする方が入院の対象です。入院対象疾患が決められており、疾患別に、傷病発症から入院までの期間や、入院日数の上限が定められています。例えば、脳血管疾患の場合、発症から入院までの期間は2か月以内、入院日数の上限は150日です。大腿骨頸部骨折の場合、発症から入院までの日数は2か月以内、入院日数の上限は90日です。
1年365日、1日最大3時間、マンツーマン体制のリハビリを提供している医療機関も少なくありません。
回リハ病棟への転院に関する質問は、急性期病棟MSWに早めの相談を
先述のように、発症から入院までの日数は疾患別に国で定められています。また、急性期病棟の医療ソーシャルワーカー(以下、MSW)が回リハ病棟に新規転院相談をしてから、実際に転院に至るまでには時間がかかります。この理由で、例えば、発症から入院までの日数が2か月以内と国で定められていても、新規転院相談は、発症から1か月以内に限定して対応する医療機関もあります。それゆえに、急性期病棟MSWは、回リハ病棟転院が望ましいと判断できる場合、患者様やご家族に適切なタイミングで、そのお話をさせていただくものと考えています。しかしながら、回リハ病棟への転院に関して質問がある場合は、急性期病棟MSWに早めに相談してください。
急性期病棟MSWの立場で言うと、回リハ病棟は、リハビリを主目的とした転院先の主軸となる病棟です。急性期病棟から回リハ病棟に転院した多くの患者様が、チーム医療を受け、自宅復帰を実現しています。
2018.02 あいらいふ 掲載