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自宅介護の処方せん ~専門家集団に聞いて歩けば~

                       

― 医療ソーシャルワーク室だより ― Vol.4

急性期病棟と療養病棟

病棟の機能分化推進。さらに求められる病棟間連携
インタビュイー写真

早稲田大学 大学院 人間科学研究科  博士後期課程 ・ 医療ソーシャルワーカー

影山康博

早稲田大学人間科学部卒業。アメリカ合衆国にて大学院正規留学。早稲田大学に在籍する一方、救急医療機関の医療ソーシャルワーカーとして勤務。主たる研究テーマは、急性期医療機関におけるMSWと退院支援看護師の協働促進。日本医療マネジメント学会、日本看護福祉学会、日本保健福祉学会に所属。社会福祉士国家資格を保有。日総研出版発行の隔月刊誌、『地域連携 入退院と在宅支援』でも連載原稿を執筆中、監修も行う。

 現代において、医療機関の「病棟」は機能分化が進められています。それぞれの病棟は、その時々の患者様の状態に最適な環境を提供できるよう、他種の病棟と連携しています。今回は、「急性期病棟」と「療養病棟」について紹介します。
 「急性期病棟」は、重症で緊急な治療が必要な方に、入院治療・手術・検査などを行います。救急医療機関である場合は、より多くの救急患者を受け入れるために、また、より多くの重症患者に高度な入院治療を行うために、入院日数は短く限られ、短縮化も図られています。急性期医療機関として見ると、研究や医療教育を行う目的なども有しています。「療養病棟」は、急性期医療を終えて病状がある程度落ち着き、中長期療養を目的とする方に、医療措置やリハビリなどを行います。医療療養病棟と介護療養病棟があり、看取りに重きを置いて長期入院可能な所もあれば、在宅復帰を重視して入院期間を制限する所もあります。また、リハビリの有無・頻度・内容は医療機関によって異なります。さらに、療養病棟では、医療区分(1・2・3)およびADL区分(1・2・3)の評価が行われます。医療区分2・3は入院対象となりやすく、中長期入院可能な傾向にあります。一方、医療区分1は入院対象とならないこともあり、入院可能な場合も、入院期間が1か月間程度に限定されることがあります。

 

 

急性期病棟と療養病棟の「相互作用性」

 

 

 東京都において、2015年の平均在院日数は、急性期病棟が14 ,1日、療養病棟が167,1日(注1)でした。これらの結果から、療養病棟の入院日数と比較すると、急性期病棟のそれがいかに短いかは一目瞭然です。簡単に言うと、中長期入院可能という点では、療養病棟は急性期病棟を補い、高度な医療の提供という点では、急性期病棟は療養病棟を補う関係にあります。現在、異種の病棟間では、こうした相互作用的な連携が強く求められているのです。

 

 

(注1)東京都福祉保健局編集:東京都の医療施設― 平成27年医療施設(動態)調査・病院報告結果報告書― 、61頁、2017.

2018.01 あいらいふ 掲載

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