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私の「介護・医療記事」の読み方 Vol. 42

〈特別編〉介護情報を伝える上で、どんな点に注意を払っているのか?

「高齢者の最も、そばにいる方に、『あれ? 薬のせいかな』と気づいてほしい」

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「ネット上などに玉石混交の情報が、あふれる今だからこそ、信頼できる医療情報をわかりやすく届けたい」
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株式会社医学書院 看護出版部『訪問看護と介護』編集室

米沢弘美

2005年医学書院入社。販売部SP課を経て看護出版部へ。現在、雑誌『訪問看護と介護』担当。遠方の過疎地に暮らす両親を心配する、いわゆる「東京の娘」(しかも長女)。「いつかきっと本誌のお世話になります」。

医療、看護のプロに向けて書かれた専門書は、門外漢には理解が難しいものです。しかしながら、高齢者の飲む薬をテーマにした書籍で、読者に対して理解を深める様々な編集上の工夫のなされた本であれば、「どんなことが書いてあるのか」と興味がわいてきます。今回、紹介する『看護・介護現場のための高齢者の飲んでいる薬がわかる本』(医学書院)は、正に、そんな書籍。編集を担当した米沢弘美さんにお話をうかがいました。

実は、高齢者をケアする看護師に向けた書籍

 

 服用する薬が増えることで、薬の相互作用による不具合や飲残しなどが生じやすくなる「ポリファーマシー」の問題。その対策のスペシャリストである秋下雅弘先生の講演を聴き、重要なテーマだと直感して、その場で先生に「書籍にまとめましょう」と打診しました。『看護・介護現場のための高齢者の飲んでいる薬がわかる本』は、主に高齢者をケアする看護師に向けて薬について知っておくべきことを整理した1冊です。

 

「事例を介して理解を深めるゼミのような本を目ざしました」

 

 13のテーマについて、看護師の長瀬亜岐さんが挙げる高齢者の薬トラブルの「あるある事例」を起点に、それが起きる理由や知っておきたいポイントなどを先生が解説するという展開の仕方は、特に、こだわった点です。一方通行の文章ではなく、事例を介してやりとりを重ねながら理解を深めるゼミナールのような本にしたいという思いがありました。実際に親の介護をしているスタッフとともに1年程をかけて先生にインタビューを行い、高齢者をケアする人の視点から聞きたいことをズバズバと聞き、構成を固めていきました。それによって、医療職ではない方にとっても役に立つ内容になったと思っています。
 「風邪薬を飲んだら尿が出にくくなった」など、ある症状を治すために飲んだ薬によって一見、無関係の不調が生じることがあります。薬のせいとは気づきにくいこの問題について、高齢者ならではの注意点をまとめています。
 「薬のせい?」と気づかなければ、不調をさらなる薬で治療しようと悪循環に陥ります。生活の質と命を守るために、ぜひ、最も身近な介護者の方にも読んでいただきたいです。

2019.10 あいらいふ 掲載

撮影: 坪田彩

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