タイトル画像

医療ソーシャルワーカーが、今、介護者に伝えたいこと

― 退院後、1日もはやく落ち着いた暮らしを取り戻すには? ―

「ご本人が今までに大事にしてきたことが、治療を頑張る原動力。入院を機会に、洗い出してみるとよいでしょう」

千葉県で大学病院だからこその高度先進医療を提供し続ける「千葉大学医学部附属病院」。この病院で、外来患者の支援を担当するソーシャルワーカーの坂本佳子さんに、「今、高齢者の介護にあたるご家族に伝えたいこと」を聞きました。
インタビュイー写真
外来の患者さんが、入院することのないように支援をすることも、医療ソーシャルワーカーの仕事です。

千葉大学医学部附属病院

地域医療連携部 ソーシャルワーカー

坂本佳子

2011年、立教大学コミュニティ福祉学部福祉学科卒業。社会福祉士の資格を取得し、千葉大学病院に入職。患者の退院支援などを手掛け、現在は主に外来患者の支援を担当。

入院前から、退院に向けた支援を開始する

 

 当院は、地域において大学病院だからこそ可能な高度先進医療を提供する役割を担っており、地域のがん診療の連携拠点病院でもあります。

 地域医療連携部では、私達、医療ソーシャルワーカー(MSW)や看護師を中心としたスタッフが患者さんの入退院の総合的な支援を行っています。当院の退院支援の特徴は、円滑に支援を進めることができるよう、入院前の段階から取組みをスタートさせている点です。

 看護師が入院予定の患者さんやそのご家族と面談をし、これから行う治療や退院後に予想される状態について患者さん側の理解が十分であるかどうかや入院前の生活状況などを確認した上で入院を迎えていただく体制をとっています。MSWは、基本的に病棟毎に担当する形ですが、私は病棟担当ではなく、主に外来患者さんに対応しています。とはいえ退院支援と無関係ではなく、先々の入退院を視野に外来通院中から行える支援は少なくありません。また、外来患者さんが望まない入院をすることにならないように支援していくことも重要と考えています。

 

患者さんの状況は、人それぞれに異なるものだから……

 

 外来患者さんのケースでは、がんや難病の告知を受けたものの気持ちの整理ができない、今後、どうなるのかイメージできないといったご相談が目立ちます。そこでまず、ご自分の病気を理解し、受け入れるための情報収集などの支援を行い、さらに医療費の問題や手術による身体状態の変化をどう受け入れるか、医療的な処置が生じた場合、患者さんやご家族がそれにどう対処していくのか、対処できない場合、どんな社会資源を使ってカバーするかなどの問題について、1つずつ対応していきます。患者さんの状況は人それぞれ異なるので、支援にあたっては、まずお話をじっくりうかがい、その方の状況を知ることが大事だと考えています。

 医療者にとっての課題と、患者さんにとっての課題は異なります。私達、MSWは、ご本人が考える課題を中心に寄り添うことを意識しています。

 

「入院前の看護師面談時に、疑問をぶつけていただきたい」

 

 高齢の患者さんが退院後、スムーズに安定した生活に戻るために重要なのは、まず病気や治療について正しい情報を得ること。がんの手術などで入院する場合は、精神的な動揺もある中で、患者さんやご家族が医師の説明を十分に理解できないとしても無理はありません。一方で、インターネットなどで膨大な情報に接し、かえって混乱してしまう方も多いように思います。私達のような病院内の相談窓口はもちろん、各地域にあるがん相談支援センターなどに、どう情報を得たらよいかをまず相談することが大切です。

 当院の場合であれば、入院前の看護師面談を活用して疑問を遠慮することなくぶつけていただきたいと思います。

 

退院後の生活のイメージは、できるだけ早い段階で持つ

 

 また、ご本人がこれまでどういう生活をしてきたか、大事にしていることは何かを一緒に整理し、私達も、それを踏まえて退院支援をしていければと考えます。家族との関係、仕事、趣味など、大事にしているものは人それぞれです。ご本人にとって治療を頑張る原動力となったり、そのために退院しようという目標となるものは何か。それをこの機会に洗い出してみていただければと思います。

 治療や手術によって入院前と身体状態が変わるケースでは、「退院後の生活がどうなるのか」のイメージづくりも重要です。介護サービスや地域の医療機関をどう利用するのか、生活の中で工夫すべき点はどこなのか、ご本人自身は何をどこまで行うことができ、ご家族はどんな役割を担うのかということについて、退院前に関係者と話し合い、整理する場を持つことは必要だと思います。地域包括支援センターなど退院後に困ったときに相談できる窓口を事前に把握しておくこともおすすめします。私達、MSWは、患者さんそれぞれが抱える課題に対して最適な解決法を見つけるお手伝いをしたいと考えていますので、遠慮なくご相談いただきたいと思います。

 

 

※月刊あいらいふ2018年10月号を再掲載したものです。

千葉大学医学部附属病院

所在地:千葉県千葉市中央区亥鼻1-8-1

診療科目:消化器内科、血液内科、腎臓内科、糖尿病・代謝・内分泌内科、循環器内科、泌尿器科、救急科、歯科・顎・口腔外科、精神神経科、病理診断科、総合診療科など

ベッド数:850床

開設:昭和24年

2018.10 あいらいふ 掲載

取材: 堀江令子 / 撮影: 坪田彩

  • 他の記事を読む
あいらいふ入居相談室は
経験豊富な専門相談員による
老人ホーム探しの無料サポートサービスです。
お電話でのご相談 お電話でのご相談