父が入院していた病院で新型コロナウイルスの感染者が見つかり、老人ホームの入居手続きが止まってしまいました

退院日を後ろにずらせません

 相談者の概況

誤嚥性肺炎で入退院を繰り返す80代のお父様。たん吸引が必要になりADLも低下したため、同居する息子様夫婦は、老人ホームへの入居を決めました。しかし、退院日が迫る中、新型コロナウイルス感染症の影響で入居が困難に。条件付きで許可をいただくことができて無事ご入居となりました。

【困っていること】

・80代のお父様は誤嚥性肺炎で入退院を繰り返している。

・たん吸引があり、ADLも落ちているので自宅に戻るのは難しい。

・老人ホームが見つかるが、新型コロナウイルスの問題で「待った」がかかる。

 エピソード詳細

息子様夫婦と同居している80代のお父様は、誤嚥(ごえん)性肺炎で入退院を繰り返しています。今回は入院が長引き、ADL(日常生活動作)が著しく低下しました。また、頻回ではありませんがたん吸引が必要になり、治療が終わっても自宅に戻ることが難しい状況です。息子様はケアマネジャー様と相談し、老人ホームへの入居を検討することにしました。

あいらいふ入居相談室にご連絡をいただいた息子様。実は1年前にも誤嚥性肺炎でご相談をいただいています。息子様の中では「トイレに自分で行けなくなったら介護の限界」という基準があり、そのときはぎりぎり持ちこたえることができるとのことで、自宅での介護を選ばれました。しかし今回は、足腰が弱って伝い歩きの状態です。トイレだけでなく多くの場面で介助が必要になり、老人ホームへの入居を決めました。

要望を整理すると、たん吸引の対応と生活そのものをリハビリとする生活リハビリに取り組んでいる老人ホームを希望。また、麻雀や将棋、習字、ギター、料理など多彩な趣味をお持ちで、息子様曰く「とても朗らかで前向きな性格」ということもあり、レクリエーションやイベントなどが活発に行われている賑やかな老人ホームを選定しました。

息子様がご提示された予算内で、ご自宅からバス1本で行くことができる住宅型有料老人ホームを気に入っていただきました。しかし、無事にご入居先が決まった矢先、大きな問題が起きます。

お父様が入院していた病院の関係者に新型コロナウイルスの感染者が見つかり、入居手続きがストップしてしまいました。退院日をずらすことはできず、何とか妥協点がないか模索します。老人ホームからは、2週間の自宅待機後なら受け入れます、との提案がありましたが、息子様ご夫婦はお二人ともお仕事をされているので難しい状況です。

病院の医療ソーシャルワーカー様に事の次第をお聞きすると、感染したのはお父様が入院していた病棟とは違う病棟の方ということがわかりました。また、感染された方がお父様の病棟のスタッフと接触することがないことも判明。そのことを老人ホームの施設長様にお伝えし、「入居後1週間は共用スペースには出ず、お部屋で過ごす」ことを条件に、ご入居の許可をいただきました。

新型コロナウイルス感染症で社会が混乱する中、何が正しいのかわからなかった時期のお話です。いたしかたないことなのかもしれませんが、なんとか無事にご入居できてよかったと思います。

 選定ホーム

ホーム(1)
ご対象者様の奥様が入居していた介護付有料老人ホーム。大手企業運営で介護の総合力が高い。自宅に近く日中帯看護スタッフ常勤。

ホーム(2)
24時間看護スタッフ常勤の介護付有料老人ホーム。設備が充実し、レクリエーションやイベントにも注力。人員体制も手厚い。

ホーム(3)
大手企業が運営する介護付有料老人ホーム。24時間看護スタッフ常勤で、オムツや車イスを利用しない生活を目指す。

ホーム(4)※入居ホーム
介護・看護スタッフが24時間常勤の住宅型有料老人ホーム。自社の調理スタッフがきめ細かく食事の要望に応えている。イベントやレクにも注力。

 今回のポイント

・誤嚥性肺炎等で入退院を繰り返す場合は、老人ホームの検討時期。
・新型コロナウイルス感染症の混乱でも、入居制限していない老人ホームはある。
・レクリエーションやイベントに力を入れている老人ホームは、一般的に活気がある。