ご家族に、独居で生活する65歳以上の方がいたら、大変、不安なことと思います。「そろそろ老人ホームへの入居をすすめるべきか」と考えても、そのタイミングは難しい。今回は、独居の限界点を示すサインについて考えてみましょう。

 

現在、65歳以上の高齢者が1人で暮らす世帯の数は全体の1割以上にのぼり、独居高齢者が自宅で誰にも看取られないケースも年々増加しています。独居の高齢者が病院に入院し、退院の際、在宅生活は困難という判断から「病院側や家族はホーム入居をすすめても、本人の強い希望により独居生活に復帰する」。こうしたパターンは、独居生活がぎりぎり可能な心身状態にあるときに多く、その後に重大事故が発生するリスクはきわめて高くなります。

 

 

独居を強く希望していても、不安や孤独で心は揺れている

 

たとえ、独居がご本人の強い希望であっても、ご本人の心情はそれがすべてとは限りません。内閣府の調査によれば、高齢者の2割以上が生きがいをあまり感じておらず、独居の男性の約3割、女性の約2割が、数日に1回程度しか他人と会話していないという現実があります。さらに、高齢者の半数が介護や生活の世話は子に頼りたいと考える一方、要介護状態になった場合の介護の場所としては、6割以上が介護施設を希望しています。独居を望む一方で、必ずしもホームを否定しているわけではなく、ご本人の気持ちは揺れているのです。

 

ご本人およびご家族が抱える不安を解消するためには、ご家族から歩み寄ることが必要です。そのタイミングがきたことを示す「7つのサイン」を見逃さず、行動を起こしてください。ご本人は、ご家族を頼りにしています。

 

独居の親が出す「7つのサイン」

  1. 脱水症状、熱中症、誤嚥(ごえん)性肺炎など、短期的な入退院を繰り返したとき
  2. 外出時に道に迷って家に帰れなくなったとき
  3. 火の消忘れ、冷蔵庫にものがあふれる
  4. 「階段を使う生活」で、要支援の認定を受けた
  5. 服薬管理をしていても薬を飲み忘れる
  6. 配偶者や家族同然のペットを失ったとき
  7. 独りで暮らしていることの不安や孤独を口にする

 

「ご本人の安心のために前進を。今が相談のタイミングです」

 

退院時に独居生活を望むご本人の気持ちを尊重し、結果として「7つのサイン」の状況を迎えてしまった以上、もう猶予はありません。

 

ご本人がホーム入居を拒否しているとしても、ご本人の心は多面的であり、表に出ているのはその一面にすぎません。独居の不安や孤独感といった、声にならないご本人の心の声に耳をすませ、寄り添うことが大切です。ご本人の表層的な拒否をただ尊重しようとするだけでは、同じことの繰返しになってしまいます。

 

「7つのサイン」をしっかりと見極め、ご本人の安心、安全のために最善の道を選んで進んでいただきたいと思います。