「老人ホーム探しは、雲をつかむようなもの」。こんな不安の声を多く耳にします。しかしながら、ベースとなる知識を身に付ければ、ご家族にとってベストマッチな老人ホームを見極めることができるものです。

全国の高齢者の住まいは2万5,000棟を超え、さらに増加する見込みです。一口に老人ホームと言っても、「特別養護老人ホーム」「軽費老人ホーム」「グループホーム」「サービス付き高齢者向け住宅」が、また民間の有料老人ホームでは「介護付」「住宅型」と分岐されます。個人の生活スタイルに合わせた選択肢が増えるのはよいことですが、多くの方が、今までに老人ホームの入居を検討する機会が少なかったことも事実ではないでしょうか。

あいらいふ入居相談室の調べでは、実際に入居の検討を開始してから入居するまでの期間は、平均43.9日。短期間になる要因はさまざまですが、この短い期間で老人ホーム探しをするにはコツがいります。主介護者様への応援の意図を込め、「はじめての老人ホーム探し」のコツをまとめました。

資料請求やホーム見学時の参考にしていただければと思います。

費用編

「老人ホームの費用」に関する疑問に、あいらいふ入居相談員がおこたえします。

気軽に見学がしたい。セールスは過剰なのですか?

ご心配かもしれませんが、過度のセールスはありません
気軽にホームを見学したくても、勧誘がイヤでホーム見学に行きにくいと感じる方が多いかもしれません。ホームは、原則として介護福祉施設ですので過度のセールスはありません。それでも、ご心配なときは、あいらいふ入居相談室をご活用ください。コールセンターにお電話いただければ、不要な勧誘を受けることなくホーム探しができます。

高価なホームと安価なホームの違いは?

生活水準にあった選択を。提供するケアの基本は同じ
高価なホームと安価なホームは、必要なケアを提供する役割は同じですが、スタッフ数やホスピタリティの面で差があります。入居後はホーム内で過ごす時間が長く、入居者同士の交わりも深くなります。そのため、ご予算の範囲内でできるだけ入居者本人の生活水準にあったホームを選ぶことが、より快適なホームでの暮らしにつながります。

入居金、月額利用料以外に、かかる費用は?

「その他費用」の目安は、月々3〜5万円です
介護付有料ホームの利用には、入居金と月額利用料に加えて、毎月約3〜5万円の「その他費用」がかかります。内訳は介護保険の自己負担金、オムツ代、理美容代、有料レクリエーション費、シャンプーや石けん、その他、室内で使う消耗品代、小遣いなどです。介護付有料老人ホーム以外については、少し異なりますので入居相談員にお問い合わせください。

細かい費用説明を受けたが、実際の所は不安です

余裕ある「100歳プラン」で、資金計画を立ててみましょう
「ご本人が入居されてから100歳まで生活される」と想定してください。100歳までの年金収入がどれだけあり、預貯金の切り崩しやご家族の持ち出しはいくらになるか。また、万一の入院も考慮し費用の総額を計算します。「大体、95歳まで」と憶測で見積もることが不安なお気持ちをつくるのでしょう。それだけ長期的な資金計画を立てておけば、気持ちの上でも安心できます。

「病院や療養型の方がよい」と言われたのですが

具体的な相談をするなら、見学時は「事前予約」を
内覧したい場合は、予約をしなくても結構です。しかし、こうした場合、入居受入れなどに関わっていない現場スタッフが対応することもあり、あくまで個人的な見解を述べるときがあります。具体的な入居をお考えの場合は、事前に見学予約をしてください。そうすれば、ホーム長や入居相談員が対応することになりますので、俯瞰的な視点で的確なアドバイスをもらうことができます。

老人ホーム入居における相場観がわかりません

何を優先するかで、ホームの価値は変わるもの
入居費用の相場の目安としてホーム立地エリアの家賃相場をイメージされるとよいでしょう。大事なのは、ご本人と家族が「どこで、どう過ごしたいか」という想い。相談の過程で家族が看取りをしたいとの強い「想い」をくみ取り、予算の範囲内で看取りが可能なところを探した上で、改めて入居候補をご提案したケースもあります。優先したいことは何か、まずは優先順位をつけることが大切です。

医療編

「老人ホームの医療」に関する疑問に、あいらいふ入居相談員がおこたえします。

病院に連れて行ってもらえますか?

多くは有料の通院サービスも。通院頻度や協力体制で検討を
通院については、多くのホームに有料の送迎・付き添いサービスがあります。提携病院なら送迎無料、月に何回までは付き添い無料などホームによってさまざまです。また、有料の通院サポートのまったくないホームもあります。ご本人の通院頻度などを考慮して、ご家族の協力が難しい場合は、通院サービスのあるホームをおすすめします。

24時間看護師常駐のよさは何ですか?

医行為の面で抜群の安心感。しかし過度の期待は禁物
看護スタッフが24時間常駐しているメリットは、主に胃ろうで、夜間に痰(たん)の吸引が必要になったり、糖尿病でインスリン注射にも対応が可能なことなどです。反対に、それら医行為がない方にとっては、日中のみの看護スタッフ常駐で十分とも言えます。その分の費用を、理学療法士の常駐や食事のおいしさなど、他の要素の充実に振り替えることをおすすめします。

病院のリハビリを継続できますか?

「病院と同レベルのリハビリは困難」と織り込むべき
「リハビリ病院入院中に行っていたリハビリを退院後にも継続できるか」とのご質問をいただくことがありますが、結論から言うと難しいです。ホームの理学・作業療法士は、入居者の運動能力とリハビリを「評価・計画」し、ケアスタッフに情報共有するのが主な役目です。毎日の暮らしの動作で、自然なリハビリを行う「生活リハビリ」が効果的に提供されます。

「ホームには訪問診療がある」と説明を受けましたが…

もし主治医を変えるなら、「ホーム提携ドクター」が安心
入居後の訪問診療の受診は、任意です。長年のつきあいがあり、信頼とデータの蓄積がある現在までの主治医の診察を受け続けることができれば、それが最善です。しかし暮らす場所が変わり、新たに主治医を選ぶとすれば、ホームと提携している医師なら、日々ホームから伝達される情報を把握した上で処方箋が書かれ、夜間に異変があった場合も対応してくれるので安心です。

日中のみの看護師常駐のホームでも大丈夫か

緊急時の対応はほぼ同じ。日中のみの常駐でも安心です
夜間に痰の吸引やインスリン注射などが必要である場合は、24時間看護師常駐のホームを選ぶ必要がありますが、それ以外なら心配はありません。ホームの看護師は、主に入居者の健康管理を担い、医行為は医師の指示に基づいて行います。したがって、夜間に緊急事態が起きた場合はいずれのホームでも救急搬送となるケースが大半なので、実質的には日中のみでも安心です。

理学療法士と作業療法士常駐では、どちらがよいか

目的に合わせた「機能訓練」を選ぶべき
マヒ等で低下した運動機能を回復させるのが「理学療法士」。一方、残存能力でやりたいことをどう実現するかは「作業療法士」の領域。例えば「絵を趣味とする右手がマヒした方が、今ある能力を使って絵を描くにはどうすればよいか」とリハビリ計画を立てて実現すること等です。いずれにしても、直接リハビリを提供するというより「計画・評価・再計画」が主な役割となります。

介護編

「老人ホームの介護」に関する疑問に、あいらいふ入居相談員がおこたえします。

老人ホームという選択で、本当によいのか疑問

家族内のキーパーソンを尊重することが「最良の選択」
見学直後に不安になられる方は、よくいらっしゃいます。そこに感情的な意見を言う親族がいたりすると気持ちもぐらつくもの。家族会議を開き、これまで介護を担ってきた方、ホーム入居後も中心的に世話をする方をはっきりさせ、その方に主導権を与えるというルールを決めましょう。キーパーソンを決め、その人にとって最良の選択をする。それが、納得のいく決断への近道です。

「サービス付き高齢者向け住宅」でも大丈夫ですか

介護サービスを提供する体制が整っている所であれば安心
「サービス付き高齢者向け住宅」のサービス内容は、運営会社の方針によってさまざまです。見極めのポイントは、居室介護支援事業所や訪問介護ステーションが併設されていて、そこからサービスが提供されているかという点です。さらに、機械浴設備があるかも確認してください。また、デイサービス併設であるなら、日中は看護師の配置が義務付けられているので安心です。

「認知症で集団生活ができなければ退去」と言われた

入院した時も、一定期間は居室を確保できるホームを選ぶ
認知症の方でも現状で病院を退院したということは、「在宅でも大丈夫」と判断されたわけですから、ホーム入居に支障はないと解釈するのが一般的です。問題は、入居後に病状が進行して重度になるケース。その場合の行き先は、病院となるはず。しばらく入院し、状況が改善されれば戻ってこられるよう、ある程度の期間であるなら居室を確保しておけるホームをおすすめします。

はじめての問い合わせで多い事例はどんなもの?

お1人でも悩まず、どんなことでもご相談ください
「老人ホームの種類がわからない」というものから、具体的な入居の相談までさまざまです。もし、不安であれば、あいらいふ入居相談室にご相談ください。ご希望に応じて対面相談や見学同行も行います。入居に当たり、家族間の折合いがつかず難航していたケースでは、ケアマネジャーと連携して解決の道を探り、入居までサポートしました。気兼ねなくお問い合わせください。

最期までいることができますか?

ご安心ください。ただし、延命措置など事前に話合いを
「基本的」に、最期まで安心してホームで過ごしていただくことができます。入居に当たっては、ご本人と家族で延命措置をどこまで行うかを事前に話し合い、ホームに伝えておくことが大切です。また、高度な医行為への対応をしているホームもあります。お看取り時に、どの医行為までなら対応可能か、入居前に確認しておきましょう。

寝たきりでも入居できますか?

可能です。しかしホームのケアプランが肝心
もちろん入居できます。その際のホーム選びのポイントは、入居後にどのような暮らしを望んでいるのか、入居前に、きちんと検討し、ケアプランに組み込んでくれるかです。家族を含め、ご本人にも意欲がなくなり、あきらめてしまっている方もいらっしゃいますが、ホームの的確なアドバイスにより、生活の中で元気を取り戻す方も少なくありません。