病院に入院している間に、お身体の状態が悪くなり、老人ホームへの入居を決断したご家族は、「在宅からホーム入居を決断された方」以上に困難な状況に遭遇します。在院期限を意識しながらの老人ホームの基礎情報の把握、候補施設の選別、書類の手配、入居の契約は想像を絶する作業です。それでは、病院から老人ホームに入居するには、どのようにしたらよいのか徹底解説いたします。

 

突然に入居の決断を迫られることも。「情報強者」になろう

 

ある日、突然ご本人が大腿骨頸部骨折で入院。認知症を併発し、退院後の在宅復帰は困難と医師から通告された。このようなケースで主介護者の方は、心の準備も整わないうちに、退院後の行き先について判断を迫られることになります。有料老人ホームの検討を始めても、大半の方はそうした施設に足を踏み入れた経験もなく、的確な見極めが困難なのは無理もないことです。退院告知から約1か月で行き先を決めなければならないという時間的制約もあり、ホーム見学をしても表面的な印象のみで判断せざるを得ず、結果的に選択を誤ってしまう場合もある。これは、「情報弱者」であるために陥りやすいパターンと言えます。

 

そこで、退院前後に知っておくべきことについてまとめました。最善の選択をするために、必要な情報を事前に把握し、「情報強者」になっておきましょう。

 

退院後、つまりホーム入居後にすべきことは、ホーム側と密にコミュニケーションをとることです。ご家族とホームとの間でトラブルが生じる最大の要因は、コミュニケーション不足です。親の世話を任せているという負い目から、ご家族がホームに対して不満や要望を伝えにくいことや、ご本人が認知症の場合、ご本人を介した情報のやりとりで認識の食い違いが生じやすいことなどから、双方が不信感を募らせることになりがちです。それを避けるためには、日頃からささいなことでも本音で言い合える関係性を築いておくことが大切です。

 

リハビリ重視の方へ(相談員がおこたえします)

「退院後のホームでのリハビリは、病院のときとは違ったものになります」

 

「生活リハビリ」がとても重要

ホームの機能訓練で、最も効果的なのは「生活」全般の動作からリハビリを行うこと。ケアスタッフの統一したケアの実施と記録、理学・作業療法士の実施後の評価があれば、効果は倍増する

 

最も大切なのは、本人の意欲

入居時は、本人の意欲が減退していることが多い。入居者本人の希望のくみ取り方や、機能訓練に結びつけるプランを確認しておく

 

1.入院中に受けていたリハビリは、継続可能か?

ホームのリハビリは、病院とは方向性が違う

 

ホームの理学・作業療法士は、入居者の運動能力を評価してリハビリ計画を策定し、その方の状態についてケアスタッフと情報共有するのが主な役割です。ホームではリハビリ病院などで行われているものと同質のリハビリを受けるのは難しいと認識しておく方がよいでしょう。日常生活の動作に絡めた自然な形の「生活リハビリ」が受けられるのもホームのメリットです。

 

2.理学療法士と作業療法士の違いは?

運動機能の回復を目指すか、残存能力を活かすか

 

理学療法士は、マヒなどで低下した運動機能を回復させるためのリハビリを行います。一方、残存能力を活かしてやりたいことの実現を目指すのが作業療法士で、例えば利き手にマヒのある方が、今ある能力を使って絵を描くことができるようにするにはどうするかを考え、訓練します。ホームでどのような機能訓練が行われているかを確認し、目的に合ったものを選びましょう。

 

3.「飲込みの訓練」をしてくれますか?

言語聴覚士によるリハビリ体制が整っているホームは安心

 

胃ろうやIVH(中心静脈栄養)などで将来的に経口摂取が可能な場合があります。一般的には医師の指導のもとに、プリンやゼリーを少量ずつ舌下に落とすところから始められます。最大のリスクは「誤嚥(ごえん)性肺炎」。ホームによっては介助に消極的なところもあります。言語聴覚士がいれば、嚥下(えんげ)評価をしながらのリハビリが可能です。ただし、過度の期待は禁物です。

 

 

医療依存度の高い方へ(相談員がおこたえします)

「退院後、新たに主治医を選ぶのならば、ホームと提携した医師が安心です」

 

通院の付き添いの範囲を確認すべき

有料か、無料か。付添いは病院の入り口までか、待合室まで同行するのかの、範囲を確認する

 

定期的な往診か、受診かを考える

一般的にホームには訪問診療の内科医師がいる。定期的に往診もある。現在のかかりつけ医から切り替える方も多い

 

通院送迎サービスの有無を調べる

ホームで用意されていない場合は、介護タクシーや家族が送迎の対応をする必要がある

 

4.日中のみ看護スタッフ常駐の場合、夜間の緊急対応は?

緊急時の対応は「24時間常駐」の場合もほぼ同じ

 

ホームの看護スタッフの役割は、主に入居者の健康管理です。医行為は医師の指示に基づいて行います。したがって、夜間に緊急事態が起きた場合、24時間看護スタッフ常駐のホームでも救急搬送となるケースが大半。 その点では日中のみ看護スタッフ常駐のホームと実質的な違いは少ない。夜間に痰(たん)の吸引などの医行為を必要とする場合以外は、日中のみ看護スタッフ常駐でも安心です。

 

5.ホームから病院に通うには、どうすればよいのか

有料の送迎・付添いサービス内容を確認

 

多くのホームが通院をサポートするための有料の送迎・付添いサービスを用意しています。提携している病院との間で無料送迎が行われていたり、毎月、一定の回数以内なら付添い無料というホームも。ご本人の通院が欠かせない場合は、通院サービスの有無や内容を確認し、通院頻度などを考慮した上で、ニーズに合ったサービスを利用できるホームを選びましょう。

 

6.入居後も元の主治医の診察は受けられる?

ホーム提携のドクターにみてもらえるので安心

 

ホームの訪問診療の受診は任意なので、状況的に元の主治医の診察を受け続けることができれば、それが最善です。しかし、暮らす場所が変わることに伴い、新たに主治医を選ぶ必要があるとすれば、ホームと提携している医師が安心です。日常的にホームから情報伝達を受け、ご本人の状態を把握した上で処方箋を用意してくれるほか、夜間に異変があった場合も対応してもらえます。