安心の医療サポートのもと、最期まで自分らしく暮らしたい
相談者の概況
多発性骨髄腫で入院中の70代女性が余命数ヵ月を宣告。残された時間も自分らしく過ごしたいと辛い抗がん剤治療をやめ、医療用麻薬による疼痛コントロールに切り替えました。自宅での介護が難しいため医療サポートが充実した老人ホームに入居したいと相談をいただきました。ご本人は医療サポートが伴うと高額になることを心配していましたが、月額利用料が年金内ですみ、行動制限がなく自分らしく暮らせる高齢者向け賃貸住宅に入居することができました。
【困っていること】
・末期の多発性骨髄腫を患い、高齢の夫による在宅介護は難しい。
・老人ホームに入居したら疼痛コントロールが必要。
・月額利用料は年金の範囲内を希望している。
エピソード詳細
夫と二人暮らしの70代女性は、多発性骨髄腫の治療のため入院中でした。余命数か月と宣告され、残された時間を自分らしく過ごすことを希望し、辛い抗がん剤治療をやめて医療用麻薬による疼痛コントロールに切り替えました。住み慣れた自宅での看取りを希望していましたが、夫も高齢で要介護であるため女性の世話ができません。そこで近くに住む息子様と相談し、医療サポートが受けられ看取りまでお願いできる老人ホームで暮らすという選択をされました。
老人ホームでは、ガンと共存されている方が多数いらっしゃいます。疼痛コントロールは切実な要望で、痛みが起きたときは医師が処方した医療用麻薬を看護スタッフの判断により投与されます。
ご本人と息子さんに会って入居条件をうかがったところ、ご本人は「月額利用料を年金内に収め、息子に経済的負担をかけたくない」と予算優先。息子さんの思いをうかがうと、「老人ホームは安心。だけど病状は末期でも食事や散歩ができる状態で、本音を言うと、元気なうちに母を老人ホームに入れるのは抵抗がある」とのこと。息子さんから見たお母様は、旅行が好きでアクティブな性格。食の好みにうるさいこだわり派でもあるようで、老人ホームに入り自由度の低い暮らしをさせることが気がかりだったようです。そこで、ご本人の意向に沿った食事や医療対応が可能であることも加味し、生活制限の少ない暮らしが叶う老人ホームをご提案しました。
最初に見学したのが、ご本人の自宅近くにある医療法人が運営するサービス付き高齢者向け住宅です。医療面でのサポートは文句なしですが、いわゆる施設っぽい雰囲気や予算面で折り合いがつきませんでした。次にご提案したのは、自宅から少し離れた場所にある医療サポートが受けられる高齢者向け賃貸住宅です。一見すると高齢者住宅とはわからない一軒家のような佇まいで、住宅内はホテルのような豪華な造り。息子さんは施設っぽくない外観を一目見て気に入り、表情がパッと明るくなったのが印象的でした。医療面では、クリニックを併設し看護スタッフが24時間常勤、医療用麻薬による疼痛コントロールも可能で条件をクリア。また、食の嗜好に細かく対応した個別メニューの提供や、レクリエーションとリハビリへの参加の強制がないことも入居の決め手に。心配していた月額利用料は年金内に収まり、要介護度が重くなってもすべて介護保険内で対応可能です。
ご本人と息子さんの双方の思いを汲むことができ、ご本人からは「最期の日まで自分らしく安心して暮らせる住まいが見つかって嬉しい」と、感謝の言葉をいただきました。現在は、終の棲家で穏やかに過ごしているそうです。
選定ホーム
ホーム(1)
医療法人が運営するサービス付き高齢者住宅。医療との連携が充実し、訪問介護やデイサービスを併設。若干予算オーバー。
ホーム(2) ※入居ホーム
終末期の受け入れ実績が豊富な高齢者向け賃貸住宅。クリニックを併設し、看護スタッフが24時間常勤。一軒家のような外観で屋内はホテルのように豪華。希望予算内。
今回のポイント
・医療用麻薬が必要な方でも老人ホームに入居できる。
・医療的ケアが可能な老人ホームが高額とは限らない。