喫煙できる老人ホームはある
相談者の概況
1日2箱のヘビースモーカーである独り暮らしの90代男性は、ある日、心筋梗塞で入院しADLが著しく低下。認知症もあり、持病の服薬管理もできない状態のため、老人ホームに入ることを希望されましたが、喫煙が可能な老人ホームは少なく、難航しています。
【困っていること】
・90代の男性が、心筋梗塞で入院中にADLが著しく低下した。
・認知症を患っていて服薬管理ができない。
・老人ホームを検討するが、タバコが吸える老人ホームを希望。
エピソード詳細
ご対象者様は独り暮らしの90代の男性。ある日、胸に強い違和感を覚えて病院へ行ったところ、軽い心筋梗塞を起こしているとのことで即入院となりました。点滴治療で改善し、一命を取りとめましたが、絶対安静の入院生活でADL(日常生活動作)が著しく低下。歩行が困難となり全面的に介助が必要になりました。
ご対象者様はもともと認知症を患っており要介護3。持病の薬の管理に不安を抱えていたこともあり、ケアマネジャー様の勧めもあって退院後は老人ホームへ移り住むことにしました。
普段から何かと世話をしていた姪御様がキーパーソンとなり選定を開始。姪御様のご自宅か職場の近く、自分でトイレに行けるようになるためのリハビリの継続、服薬の管理、認知症ケアなど、いくつかご要望をいただきましたが、なんといってもご対象者様は1日2箱のヘビースモーカーです。心筋梗塞もタバコが原因だと思っていた姪御様でしたが、「この年でタバコをやめさせるのはしのびない」と、喫煙ができる老人ホームを最も優先順位の高い要望としました。
しかし、タバコが吸える老人ホームは少ないのが現状です。理由は、火の不始末や誤飲の防止、健康管理、それと、昨今の禁煙化の流れに伴い健康増進法が改正され、原則屋内禁煙になったことも影響しています。
今回選定したのは数少ない喫煙ができる老人ホームですが、それぞれ喫煙の方法に違いがありました。ある老人ホームでは、「屋外の喫煙所に自分で行っていただきます」としています。つまり、自分自身で管理できない場合は、喫煙が認められないということです。また別の老人ホームでは、「喫煙するときは職員が付き添いますが、別途付添サービス料が必要です」としています。いずれの場合も、施設スタッフがライターとタバコを保管し、喫煙時に手渡して管理するということでした。
そんな中、職員が喫煙スペースまで無料で誘導していただける老人ホームがありました。「1日2箱は難しいので、かなり本数を制限させていただくかもしれません」との条件付きでしたが、この老人ホームに入居を決めました。
後日談ですが、実は入院中にタバコが吸えない日が続いたことで、なんと禁煙ができたそうです。ということで、入居時に用意した1カートンのタバコに一度も手を付けることなく過ごしているそうです。
「禁煙ができてよかったと思いますが、あの騒動はなんだったのでしょうか」と姪御様が苦笑いをされていました。
選定ホーム
ホーム(1)
介護付有料老人ホーム。地域のボランティアと連携してのレクリエーションやイベントが充実。喫煙スペースはあるが、自分で管理できることが条件。
ホーム(2)※入居ホーム
駅から徒歩5分で、医療的に重い方も受け入れ可能な介護付有料老人ホーム。喫煙スペースがあり、喫煙時は職員が無料で付き添いしてくれる。
ホーム(3)
最寄駅から少し離れた、緑豊かな場所にある住宅型有料老人ホーム。喫煙は可能だが、有料の付き添いサービスが必要。
今回のポイント
・喫煙できる老人ホームは少ない。
・喫煙する場合は、タバコの管理や本数、付添いサービスの有無などの確認が必要。