娘と息子の意見が食い違い、なかなか要望がまとまらない

 相談者の概況

自宅で転倒して骨折した90代のお父様は、ADLが低下し、さらに認知症も重くなりました。このままでは自宅に戻れそうもないと老人ホームを探し始めますが、娘様と息子様の意見が食い違い、老人ホーム探しが難航。そこで、決定権者を1人にすることを提案しました。その後はスムーズに進行し、無事にご入居されました。

【困っていること】

・お父様が転倒して骨折。認知症も重くなり、自宅に帰れそうにない。
・小規模多機能型居宅介護施設のショートステイを利用している間に、老人ホームを探したい。
・娘様と息子様の意見が食い違い、老人ホーム探しが難航している。

 エピソード詳細

独り暮らしで認知症を抱える90代のお父様が、畳のへりにつまずき転倒。腕を骨折して入院しました。治療は順調に進みましたが、ADL(日常生活動作)が低下し、認知症も重くなった印象があります。

高齢者は筋力や反射神経、柔軟性が若いころに比べるとかなり低下しているためつまずきやすく、転倒して骨折するリスクが高くなっています。平成28年の厚生労働省「国民生活基礎調査」によると、介護が必要となった主な原因で、「骨折・転倒」は12.5%となっており、「認知症」の18.7%と比べても高い割合となっています。

離れて暮らす娘様と息子様は、このような状態では自宅に戻ることは難しいと判断。しかし、すぐに老人ホームを見つけることができなかったため、小規模多機能型居宅介護施設(※)のショートステイを利用し、その間に老人ホームを探すことにしました。

お子様達はケアマネジャー様からあいらいふ入居相談室を紹介され、さっそく老人ホームの選定を開始しました。お子様達の一番の希望は立地。通いやすいところがよいとのことでしたが、「長男だから面倒は俺が見る」と息子様宅近くでの選定を依頼され、娘様といえば「結局私が見舞いに行くことになるんだから」と娘様宅近くでの選定を希望。2人の意見が食い違います。

「船頭多くして船山に上る」ということわざがあります。大切な家族のことなので多くの意見が出ると思いますが、最終的に決定する人が複数いると必ず迷走します。そこで、日常的に見守りをされていた娘様がキーパーソンになり、娘様のご自宅近くのエリアで探すことになりました。

さらに問題は続きます。お父様の状況に関しても、お子様達とケアマネジャー様の認識に違いがあることが浮き彫りになります。お子様達から話をお聞きすると、お父様は若いころから怒りっぽく、叱られていた記憶しかない、とのことでした。認知症になってからはそれが激しくなった印象で、「こんなに人様に迷惑をかける父親が老人ホームに入れるのだろうか」と心配されていました。それに対して長年お父様を担当されてきたケアマネジャー様は、「お子様達が言うほど認知症はひどくはなく、気難しいところはありますが、ケアスタッフとはとてもいい距離感でお付き合いされています」とのことでした。

このままでは、老人ホーム側に正しい情報が提供できず入居が難航すると考え、お父様の現在の状況の把握に努めました。

お父様とご家族様は積極的なリハビリは望まず、体力の維持をご希望されていました。そこで、日常生活の動作そのものをリハビリとする生活リハビリを、積極的に行っている老人ホームを選定しました。見学する際にも同行し、ともすればあらぬ方向へ話が進みそうになるところでしたが、施設長様と正確な情報共有を行い、無事ご入居となりました。

※小規模多機能型居宅介護
地域密着型の介護サービスの一つで、同一の介護事業者がデイサービスや訪問介護、ショートステイ等を一体的に提供するものです。それぞれのサービス事業者を新たに探す必要がないことや、サービス内容が変わっても顔見知りのケアスタッフが身近にいることなどが特徴です。

 選定ホーム

ホーム(1)
都心の閑静な住宅街にある介護付有料老人ホーム。ケアは一般的だが、レクやイベントに力をいれている。ご本人の自宅に近い。

ホーム(2)
アットホームな介護付有料老人ホーム。ケアは一般的だがレクリエーションの種類が豊富。娘様宅と息子様宅の2人の中間地点にある。

ホーム(3)
グループ会社の調剤薬局薬剤師による服薬指導がある介護付有料老人ホーム。レクやイベントも豊富で、ご本人宅にも近い。

ホーム(4)※入居ホーム
(3)の系列の介護付有料老人ホーム。ケア内容は同じだが、精神科医による往診がある。娘様宅に近い。

 今回のポイント

・転倒骨折は、介護が必要となる主な原因である。
・スムーズ入居のためには、最終的に決定するキーパーソンは、複数ではなく1人にする。
・昔のイメージを引きずらないように、現在の状況を正しく把握する。