毎月必要な費用は、結局いくらなんでしょうか?

 相談者の概況

80代のご両親をサポートしていた娘様はがんで入院。これを機にご両親には老人ホームに入居してもらいたいと相談を受けました。お父様は経済的な不安が強く、「預貯金には手をつけたくない」「年金で入れる老人ホームを探したい」と主張。入居一時金がなく、月額利用料が安価なサービス付き高齢者向け住宅への入居が決まりました。

【困っていること】

・娘様はがんで入院。高齢のご両親との生活に限界を感じ、老人ホームへの入居を検討。
・お父様は費用面が心配。預貯金は切り崩さず年金の範囲内に抑えたい。
・お父様は娘様にお金で迷惑をかけたくないという思いが強い。

 エピソード詳細

都内で80代のご両親と同居する50代の娘様は、がん治療のために入院。お父様はまだまだお元気で自立に近い要支援1、お母様は要介護2でおもに娘様が介助していました。老人ホームの入居を切り出したのは入院中の娘様で、「退院後、私が両親の面倒を見るのは難しい」という理由です。

娘様からは「両親は納得している」と聞いていましたが、ご自宅を訪ねてお父様と話してみると、「自分が妻の面倒を見る。まだ自宅で暮らしたい」というのが本音でした。自宅暮らしにこだわるのは経済的な不安もあり、老人ホームはどこも高額というイメージが強いようです。

後日、娘様を交えてお父様と3人で話した際、娘様が「もう私を解放してほしい」と訴えました。「親の面倒を見るのは子どもの義務」という思いで長年介護に努めてきましたが、思いもかけないご自身の入院で、「自分の人生はこのまま介護だけで終わってしまうのだろうか」と、ご自身の置かれている立場を客観的にみることができたそうです。そんな娘様の切実な思いが伝わり、お父様は、お母様と一緒に老人ホームへ入居することを前向きに検討するようになりました。

しかし、問題は「お金」です。最初、入居一時金が必要なタイプの老人ホームを提案しましたが気に入っていただけず。家賃の前払いにあたる入居一時金方式にすると月額利用料が安く済むと説明しても、一度に数百万円の現金が口座からごっそりなくなるのは不安だと言います。不安の原因について詳しく話をうかがうと、入居後、預貯金が尽きて娘様に経済的な負担をかけることはしたくないそう。

老人ホームに入居できても、毎日お金の心配をして暮らすのは幸せとはいえません。お父様の心理的ストレスを減らすため、最終的には入居一時金なし、月額利用料は年金プラス数万円の範囲内、今後の体調の変化を考えて介護・看護スタッフが常勤のサービス付き高齢者向け住宅を選定しました。

しかし、お父様は自分で探してきた老人ホームのパンフレットを指差して、「ここなら月額12万円じゃないか。なんでここじゃダメなんだ」とおっしゃいます。実は、パンフレットに書かれている月額利用料は、一般的には家賃、管理費、食費の合計金額を記載しています。(サービス付き高齢者向け住宅など場合は、一般的に食費は含まれません)

実際に毎月かかる費用はこれとは別に、介護保険の自己負担分、医療費、オムツ代、理美容代、おやつ代、有料レクリエーション代などの実費自己負担が必要です。お父様とお母様の場合は、これらを合計すると毎月5万円は超えてしまう可能性があると説明しました。また人生100年時代を見据えて、ご両親の年金と預貯金をもとに100歳までの支払い額をシミュレーションして差し上げ、数字で見せることで過度な不安を払拭することができました。
※それぞれの高齢者住宅によって、自己負担の内容や金額は異なります。

娘様の予後は良好で無事に退院を迎えたと聞いています。ご両親と適度な距離ができたことで心に余裕が生まれ、週末に老人ホームを訪ねることもあるそうです。

 選定ホーム

ホーム(1)
定員が少なく家庭的な雰囲気のサービス付き高齢者向け住宅。介護・看護スタッフが常勤。食事やレクリエーション、医療連携に力を入れている。

ホーム(2)
都心から離れた場所に位置する介護付有料老人ホーム。郊外にあるため利用料が安価。介護レベルは一般的。

ホーム(3) ※入居ホーム
介護・看護スタッフ常勤のサービス付き高齢者向け住宅。郊外にあり駅からは近く、スーパーやコンビニも利用しやすい。機械浴があり医療連携も充実し要介護度が重くなっても住み続けられる。

 今回のポイント

・主介護者の心の声が爆発する前に、周囲は気付いてあげることが必要。
・すべての老人ホームが高額なわけではなく、経済的事情に合った選択肢がある。
・一度にまとまったお金を用意できない場合、入居一時金なしの老人ホームを提案できる。
・長期スパンで必要経費を可視化すると、入居後のお金の不安を払拭できる。